#15

わくわくできることを見つける

札幌新陽高校インターン「校長の右目」 小林さやかさん

小林さやかさんは、ベストセラーであり映画化もされた『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』のモデル。笑顔を絶やさずストレートな言葉で語る彼女の元「ビリギャル」だからこその想いと夢、「はたらいて、笑おう。」とは。

更新日:2018年6月19日

目の前の人を幸せにすることに魅せられて

ベストセラーとなり映画化もされた『ビリギャル』ですが、大学合格後、小林さんはどんなことをされてきたのですか?

『ビリギャル』の作者である坪田信貴先生が、「君みたいに“人が大好きな子”は、人との出会いが必ず人生の転機になるから、たくさんの人に出会っておいで。」と話してくれたことがありました。だから大学入学以降は、「たくさんの人に会おう」を軸に、自分のアンテナにひっかかった「面白そうな人に会えそうで、わくわくできそうなところ」にどんどんチャレンジしました。

大学卒業後は、大手のウェディング企業でたくさんのご夫婦を担当させていただいた後、フリーランスに転身。フリーウェディングプランナーとして活動しながら、ちょうどその頃出版された『ビリギャル』としての全国への講演活動もスタートさせました。

講演会ではどのようなことについてお話をされるのですか。

現在、年間90本近く講演をさせていただいておりますが、対象は高校生の時もあれば保護者の時もあります。しかし対象がどの世代であれ、だいたい同じ話をしています。

私が一番伝えたいことは、「わくわくしてますか?」ってこと。

よく、高校生に「どうしたら偏差値20上げられますか?」って聞かれるんです。その生徒に、「なぜ偏差値上げたいの?そもそもなんで受験しなきゃいけないの?」と聞くと、明確に答えられる子は少ない。大学には行くのが普通、親や先生がそう言うから・・・もしそういう理由でなんとなく勉強してるなら、偏差値なんて上がらないと思います。勉強自体にわくわくするのは難しいから。つまんなくなってしまいますよね。

でも、例えば「大好きな芸能人が通ってる大学に、どうしても行きたい!」と言える子は、頑張れる。「わくわく」って、一番の原動力になるってことを、大人も子どもも意外と分かっていない。まず「わくわくする目標を設定する」ってことを避けて通っては、良い成果は期待できないと思っています。大人にも、「子どもを追いかけまわして“勉強しなさい!”って100万回言うよりも、大人が子どもより先に思いっきり楽しんでる姿見せちゃう方が、よっぽど英才教育になりますよ」と伝えています。

 

「ビリギャルは元々頭が良かったんだよ」とめちゃくちゃ言われますが、じゃあ、元々頭が悪い子っているんだろうか?と思います。そんなことよりも、私に人よりあったのは、この「わくわくを見つけられる力」と「自己肯定感」だと思うんです。無理そうな目標を見つけた時、普通は「どうせ無理でしょ」とやる前から諦めてしまいそうなところを「面白そう!わくわくする!私ならできる気がする!!」と思えた。だから迷わず、やるって選択肢を選べた。ここが、一番の大きな分かれ道だと思います。地頭の良し悪しじゃない。やるか、やらないか。こっちの方が圧倒的に大きいと思います。

小林さんがわくわくを感じるのはどんな時ですか?

自分という存在が関わることで、目の前の人が幸せになるかも知れない・・・!と感じられた時は、とても、わくわくします。妄想も膨らんで、アイデアもどんどん出てきて、努力が苦じゃなくなる時ですね。そしてその結果、ウェディングプランナーをやってる時も、高校に講演しに行った時も、誰かの心からの「ありがとう」をもらえた時、さあ、もっとやるぞ、とやる気がみなぎってくる。心が揺さぶられる瞬間です。

 

今の私は、「下の世代の子どもたちが、もっと楽しくイキイキと生きられるようになるには、どんな教育が必要なんだろう」というところに、とても興味があります。そもそも、私は「ビリギャル」とならなければ講演会をさせてもらえる立場にはならなかっただろうし、こんなに多くの学生にこの歳になって関われる機会はなかった。これって、「ビリギャル」と言ってもらえるようになった私の使命でしかないと思ったんです。だから、私がもっと教育を勉強して、伝えられることを増やしたい、と思うようになりました。

そんな時、札幌新陽高校の荒井優先生がFacebookで更新している校長日誌を読んだんです。「こんな校長先生いるんだ・・・」と感動しました。まさに、心が揺さぶられました。この学校で何が起きているのか、知りたい!と思い、荒井校長にメールを送ったのをきっかけに、札幌新陽高校の「校長の右目」という役職で、インターンをさせていただくことになったんです。

未来に生きる経験値を積んで欲しい

「札幌新陽高校 校長の右目」とはどんなことをしているのですか?

先生でも生徒でもなく、元スーパー劣等生の私だからこそ見える学校とか教育があるんじゃないかと思っています。だからこそ、インターン中は私が教壇に上がって何かを「教える」ことはないし、それよりは生徒に混じっていろんなことを一緒に経験したいと思っています。

先日、東京から私の尊敬する方が二名、学校に遊びに来てくれたんです。この二人は、典型的な「人生を最高に楽しんでいる人」です。私も、高校生の時に、こんな面白い大人にもっと出会えていたなら・・・と思うほど。だから、私が駐在している高校の生徒たちに話をしてもらう機会をつくりました。題して「サヤトーーーーク」。有志の生徒を集めて、私がファシリテーターとなり、お二人に話を伺う企画。生徒たちは、真剣に、でも笑いながら聞いてました。

トークの後、生徒たちがその二人に群がって、「名刺ください!」「質問いいですか?」と積極的に話しかけていました。学生たちにとって、面白い大人との出会いは必須だと思っています。人生変えちゃうくらいの威力がある。そういうことも、新陽高校以外の場所でも、どんどんやっていきたいなと。

わくわくして笑いながら学び続けられる強み

では最後に、小林さやかさんにとって「はたらいて、笑おう。」とは?

わくわくすること、かな。母が小さい時からずっと私に言い続けてくれたこと。それをこれからも、ずっと、働いている時こそ、わくわくし続けていたいと思っています。だって、楽しくなくちゃ良いものなんて生まれないじゃないですか。

そうやってわくわくして、笑って、学び続ける大人が増えたら、世の中は変わると思う。その笑顔を下の世代に見せることが、本当の英才教育じゃないかなと私は思っています。まずは大人が子どもたちのロールモデルになる!下の世代の子たちが、「大人になるって、楽しそうだ!」って思ってくれるような、そんな大人でありたい。人生を大きく変えてくれた、今まで私と出会ってくれた面白い大人たちへの恩返しの気持ちも込めて。私はこれからも、いろんな活動を通してわくわくしながら学び続けたいし、それを伝え続けたいと思っています。

 

取材・構成:橋本 こうたろう
写真:井手 康郎(GRACABI inc.)

 

札幌新陽高校 校長の右目 小林さやかさん

『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』のモデル。慶應大学を卒業後は、ブライダルの大手企業に就職し、3年後に独立。ビリギャル目線で話す講演会を、全国各地で年間約90回開催している。現在は札幌新陽高校にて「校長の右目」としてインターン中。期間は2018年度の1学期間。
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