シニア部門

NARIWA NARIWA
PERSOL Work-Style AWARD 2019

年齢に縛られない生き方を動画で発信。最高齢YouTuber女性の挑戦

成羽さん(YouTuber/東京)
1945年生まれ。2015年4月、69歳でYouTuberとしての活動を開始した国内最高齢のYouTuber。スマートフォンを使って、一人で撮影から動画編集まで行う。2019年1月時点で、チャンネル登録者約5,500人、視聴回数168万回を超える。趣味は、書道、美術、チョークアート、旅行など多数。何事にも好奇心旺盛で、東海道五十三次をめぐる動画も公開している。

01.WorkStyle / 仕事紹介

69歳でYouTuberデビュー。父を亡くしたショックから立ち直るきっかけに

成羽さんは日本最高齢の女性YouTuberだ。69歳からYouTubeで動画投稿を始め、2019年1月現在は73歳。アイフォンひとつで動画撮影から編集までをこなし、毎日動画を投稿している。動画内で再生された広告がクリックされた時に発生する収益が、成羽さんの収入だ。美容や料理などジャンル特化型のYouTuberも多いが、成羽さんはノンジャンルで活動。73歳の自分が送る生活を切り取り、興味の赴くままに動画を作る。

YouTuberに転身したきっかけは、父の介護だ。介護のために会社を退職したが、亡くなった後は喪失感に打ちひしがれ、家で過ごす時間が苦痛になった。心配した娘からハワイ旅行に誘われてインターネットで情報収集をしていた時、偶然YouTuberの動画に出会った。それまでYouTuberの存在すら知らなかったが、ハワイ旅行の様子を撮影した動画を見て「一般人でもこんなにおもしろいことができるんだ」と思い、そこからどんどんYouTubeの世界にのめり込んでいったと言う。

「心のどこかで何かやりたいと思っていたんですが、やりたいことが見つかりませんでした。でも、ずっと動画を視聴していたら『あっ、これだ!』と思う瞬間があったんです。初めてスイッチが押された気がしました」

動画投稿を決意したものの、アカウント登録からチャンネル立ち上げ、広告による収益化設定などの準備に悪戦苦闘した。やり方は一切わからなかったが「どうしてもやりたい」という意欲がエネルギーになり、あきらめずに検索を重ねて情報収集し続け、半年かけて動画投稿に漕ぎつけた。

今では毎日の動画投稿が習慣化している。朝7時に起きてすぐにニュースサイトから動画のネタを探し、朝食を食べたら撮影スタートだ。毎日投稿できるよう動画のストックを用意しなければならないため、まとめて2~3本撮影する日もある。そのままスマートフォンのアプリで動画編集し、公開設定をするまでがルーティーンだ。さらにリアルタイムで行うライブ配信も日課になり、画面越しに視聴者と会話する日々を送る。70代とは思えない最先端の生活だ。

02. Thoughts on Work / 仕事に対する想い

70代はハンディキャップではなくアドバンテージ

成羽さんは「70代だからこそできることと、70代でもできることの両方を発信していきたい」と言う。モットーは、年齢にとらわれない前向きな生き方を発信することだ。好きなテレビゲームを実況プレイする動画や東京から京都を目指して東海道五十三次を歩く動画など、好奇心と行動力に満ちた動画を数多く公開している。

2015年4月に初投稿したもののYouTubeチャンネルの登録者数はなかなか伸びず、半年後にようやく100人に到達。多くのYouTuberが所属している「UUUMネットワーク」に自ら応募し、年明けには最年長のYouTuberとして仲間入りを果たした。YouTuber向けの勉強会にも積極的に参加し、投稿の頻度が重要だと聞いてからは毎日投稿をスタートした。

最初は慣れないネタ探しと動画制作に四苦八苦していたが、70歳を迎えた自分の日々をありのまま発信するスタイルを確立し、無理なく毎日投稿できるようになった。「最高齢のYouTuber」として雑誌やテレビなどメディアに取り上げられるようになり、動画に寄せられるコメントも増えた。若い人からは「自分のおばあちゃんみたい」、同年代からは「成羽さんのように歳を重ねたい」といった声が届く。

「何をするにも年齢は関係ありません。私の父は職人で、90歳になっても神社仏閣のお堂やお神輿を懸命に作り続けていました。その背中を見て、自分も父のように生きたいと思ったのです。私も動画を通して、父のように前向きな生き方をお伝えしていきます」

年齢を重ねても、自分らしさを前面に出して突き進む

成羽さんが動画投稿を始める時に最も悩んだことは、顔を見せるかどうかだ。YouTuberの中には首下や手元だけを撮影したり、マスクやお面で顔を隠したりと顔出しをしない人もいる。当時69歳だった成羽さんは顔出しに抵抗を感じた。初めて公開したのは旅行先で乗った寝台特急の連結風景を撮影しただけの動画で、顔どころか声も出さなかった。

しかし「顔を見せ、表情を見せたほうが伝わりやすく、自分のことも知ってもらえるはず」と思い直し、勇気を振り絞って自己紹介動画を撮影した。原稿を作らずぶっつけ本番で撮影するため、何度も取り直した。声は小さく震えていたが、今でもYouTuberとしての活動に行きづまった時はその動画を見返し、初心を思い出す。

「毎日必死で動画を投稿しても、登録者数が増えないどころか減ってしまったり、私より後に始めた人にどんどん追い越されてしまったりして落ち込むこともありますが、クヨクヨ悩んでも解決しません。そんな時は自己紹介動画を見て、気持ちを奮い立たせてカメラの前に立った日の気持ちを思い出します」

YouTuberとして一人で活動している以上、自分で自分を信じなければ前に進めない。「今までどおり私らしく頑張ろう」と気持ちを切り替え、失敗を恐れずに突き進むのが成羽さんのポリシーだ。

03. Review of 2018 / 2018年の振り返り

恐れずにミニスカート姿を披露。自分ができる方法を探せばいい

成羽さんの2018年は「楽しくて忙しい年」だった。一番力を入れたのは「これも挑戦だ」と意を決して撮影したハロウィンのコスプレ動画だ。1年前から計画を立てて体型づくりや衣装準備を進めていき、撮影当日は軽井沢のホテルに宿泊した。

扮したのは好きなゲームに登場する女性キャラクター。衣装がスリット入りのミニスカートだったため炎上対策に気を遣い、性的な印象を与えないように長めのブーツを履いて肌の露出を抑えた。

アングルを変えるごとに映りを確認して調整を重ね、3時間かけて撮影。夜中の2時にようやくカメラを止め、熱が冷めないうちに動画を完成させようと徹夜で編集した。丸一日かけて制作した渾身のコスプレ動画は反響も良く、動画を視聴者といっしょにリアルタイムで視聴しながらチャットができるプレミアム配信を行って大いに盛り上がった。

「若い子がコスプレするのも魅力的ですが、70代がミニスカートを履くからこそのおもしろさもあります。年齢に関係なく、自分に合った方法でやりたいことに挑戦する姿をお見せできたことがうれしかったです」

04. 2019 resolution / 2019年の抱負

健康に挑戦し続け、笑顔で人を元気にしたい

現在73歳の成羽さんが掲げる2019年の抱負は「健康に過ごし、挑戦し続けること」だ。毎日動画を撮影・編集して投稿するYouTuberには体力も必要。好きなものをたくさん食べ、よく歩くのが健康な体を維持する秘訣だ。散歩しながらライブ配信したり、東海道五十三次を歩く様子を撮影したりと積極的に活動し、1日あたり約8,000歩も歩いている。

東海道五十三次制覇に向けて月1回3万歩ずつ歩き、3年かけて歩き切る予定だ。有志のグループでいっしょに歩いているが、成羽さんがグループ最年長。周りのペースについていくだけでも一苦労だ。それでもカメラは回し続け、歩く様子を動画にまとめている。

あきらめずに挑戦する成羽さんに憧れる視聴者は多い。一番うれしいのは、視聴者の「成羽さんみたいになりたい」という言葉だ。

「健康だったら何でもできると信じています。東海道個十三次を歩くのが夢だとYouTubeで話していたら、視聴者の方が今のグループを紹介して下さり、夢が叶いました。まだ昨年に始めたばかりですが、健康を維持しながら京都まで歩き切るのが目標です」

もともと成羽さんは表情に乏しいタイプだったが、亡き父の笑顔から元気をもらって「笑顔は人を元気にするのだ」と実感した。自分も人を元気にできるようにと、YouTubeの動画では笑顔で話している。成羽さんは「『ああやり切った、楽しかった』と思って旅立ちたいので、死ぬまでYouTubeを続けます」と笑った。

※この記事は2019年1月の取材を基に作成し、同2月12日に掲載されたものです。

Other Winners

PERSOL Work-Style AWARD 2019 Winner

はたらくことそのものを輝かせ、人生を楽しむことにつなげていくために、すべてのはたらく人を支援したい。十人十色の成長と笑顔にスポットライトを当てる。 PERSOL Work-Style AWARD 2019 受賞者たち。