【株式会社カケハシ 中尾豊】必要な配役とスタッフを集めて、新しい文化を作る。起業とはドラマのようなもの。 | PERSOL(パーソル)グループ

 

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  • 株式会社カケハシ
    代表取締役CEO 中尾 豊

必要な配役とスタッフを集めて、新しい文化を作る。
起業とはドラマのようなもの。

医療というのは規制産業の側面が強く、それゆえに様々なペインポイントを抱えている分野です。たとえば、診察を受けるために何十分も待たされ、さらに薬を受け取るのにまた待たされるようなことを、誰しも経験しているでしょう。こうした患者側の体験を変えたいという思いが、後にスタートアップのきっかけとなりました。

もともとは製薬会社のMRとして、5年弱ほど営業職に身を置いていた僕ですが、起業を決意した時点で、具体的な事業プランは何も持っていませんでした。頭の中にあったのは、医療の現場で働く方々の努力が十分に患者の価値につながらずにいる現実を、どうすれば改善できるかという思いのみ。

そこで僕はまず、400軒の薬局をまわり、徹底的なヒアリングを行ないました。現場が今、どんなことに困っていて、何が患者側の価値を阻んでいるのか。当時はまだ会社も製品もない状態ですから、怪訝な顔をされることもありましたが、そこで見えてくる領域には、必ず事業の種があると確信していました。現在のメイン事業である電子薬歴システム「Musubi」は、こうした現場の事情から生み出されたものと言えます。

たとえば薬局を訪れた際、ただ薬を受け取るだけでなく、体質や体調に合わせて食事改善のアドバイスがもらえれば、患者の体験の価値は上がります。つまり、「Musubi」がそのためのコミュニケーション・ツールとして機能することで、患者の薬局体験を変えることができるわけです。

中尾豊

しかし、僕は何でもできるスーパーマンではありません。そこで起業にあたって必要だったのは、自らを客観視し、自分が持っている武器を定義化することでした。

僕は薬剤師ではないし、システム開発もできませんが、仲間づくりは得意分野です。自分に不足しているスキルを持つ仲間を集めれば、目指す世界に向けて一歩前進できるはず。そうして集めた仲間が、今の会社の創業メンバーです。スタートアップというのは、必要な配役とスタッフを揃えて作るドラマに近いのかもしれませんね。

こうした考え方は現在も変わりません。かつては「Musubi」の仕様に口を挟むこともありましたが、今は信頼できる仲間に任せることで、僕は本来の得意分野である営業に専念できるようになりました。これが会社にとって良い方向に働いているのは言うまでもありません。

創業からちょうど2年。仲間は35人に増えましたが、まだまだ見据えている世界には到達していません。それでも、こうして新しい文化を作るために動いている現状には、大きな充実感を覚えます。今はまだ、患者さんの薬局体験を変えている段階ですが、2~3年後には、医療体験そのものを変えていきたい。これは1人のビジネスパーソンとして、とてもやりがいのある夢だと思います。

中尾豊

中尾 豊

Nakao Yutaka

株式会社カケハシ 代表取締役CEO

武田薬品工業株式会社入社後、MRに従事。医療業界において、サービス面で貢献することが多くの医療従事者や患者さんに貢献できる方法だと考え、同社を退職。「医療をつなぎ、医療を照らす」というビジョンでカケハシを創業。

※この記事は2018年3月の取材を基に作成し、同4月4日に掲載されたものです。

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