インタビュー INTERVIEW

「はたらいて、笑おう。」とウェルビーイングの共通点

インタビュー
秋田祐希先生

秋田祐希先生

導入時期25年度~
対象学生2年生
導入プログラム2Daysカスタマイズ

——まずは、ワークショップ導入のきっかけや期待されていたことについて教えていただけますか。

私は本校で総合的な学習を担当しているのですが、本校ではどの学年でも総合的な学習の中でキャリア教育を行う方針があります。 1年生は前半が防災学習で始まるのですが、年明けの1月〜3月頃にキャリア学習を行うにあたり、「どのようにアプローチすればよいのか」と悩んでいたんです。 学校現場では、2年生で職業体験を行うケースが多いと思います。ただ、実際には教員が事前に事業所へ連絡したり調整したりと大きな労力がかかる一方で、半日の体験でどこまで学びが得られるのか、疑問を感じていた部分もありました。 そんなときにホームページで見つけたのが、パーソルさんの「はたらくを考えるワークショップ」でした。

——ホームページをご覧になって、どんな点に魅力を感じられたのでしょうか。

実は本校で、今研究テーマにしているのが「生徒のウェルビーイングの育成」なんです。私は研究主任も務めていて、そのテーマ設定にも関わっています。
パーソルさんの「はたらいて、笑おう。」という言葉を見たときに、この“はたらいて笑う”という考え方と、私たちが目指しているウェルビーイングには共通点があると感じました。
これからの時代は、経済的な豊かさだけではなく、心の豊かさも大切になってくると思っています。
一時的な「ハッピー」ではなく、継続的に自分も周囲も幸せな状態でいられること。それがウェルビーイングですよね。
本校のスローガンも「自分も人も大切に」です。まず自分自身が満たされていないと、人に幸せを与えることはできません。逆に、周りが幸せであれば自分も高まる。そうやって家庭や地域、社会全体へと広がっていくものだと思っています。
そうした考えと、ワークショップの理念がつながっていると感じました。

「なぜ私は将来はたらくのか」という本質的な問い

——キャリア教育の中では、どのようなテーマを設定されていたのでしょうか。

生徒とみんなで学んでいく中で、まず学年で、次のような共通の問いを作ったんですね。
「誰のため、何のため、なぜ私は将来はたらくのか」
この大きな問いを、学習の前と後でそれぞれ書いてもらい、生徒の考えの変化を見ていくという取り組みをしています。
キャリア教育というと「職業体験」や「職業調べ」に目が向きがちですが、ある研修で「職場体験がゴールになってしまっていないか」という指摘を受けたんです。
本来、職場体験はゴールではなく、はたらくことを考えるきっかけのはずですよね。
その言葉を聞いたときに、私自身の考え方も大きく変わりました。
だからこそ今回の学習では、「職業」そのものよりも、もっと本質的な問いからスタートさせたいと思いました。

「はたらく=お金」だけではないと気づく瞬間

——実際にワークショップを実施されて、印象に残ったことはありますか。

本当にたくさんありますが、まずファシリテーターの方の進め方が素晴らしかったですね。
1回目の「動機づけワーク」という授業では、「世の中にはどんな仕事がある?」という問いからスタートして、普段から目にする仕事だけでなく、社会には多様な仕事があることを生徒たちに気づかせてくれました。
そして特に印象に残っているのが、「価値提供」という言葉です。
生徒に「なぜはたらくの?」と聞くと、多くは「お金のため」「生きるため」と答えます。
もちろんそれも間違いではありません。でもワークショップの中で、はたらくことは「誰かに価値を提供すること」だという視点を示していただいたことで、生徒たちの考えが大きく広がったと感じました。

インタビュー

半日の職場体験以上の学び

——2回目の授業として「仕事リアル」というキャリアアドバイザーを体験する授業も導入いただきました。
こちらについてはいかがでしたか。

正直に言うと、最初は「どこまでリアルに感じられるのだろう」と思っていたんです。
本当の職場体験のように、現場ではたらく経験にはかなわないのではないか、と。
ですが授業を終えてみて、教員同士で話したのは「半日の職場体験以上の価値があるのではないか」 ということでした。
授業のゴールとして、仕事の楽しさややりがいを理解するだけでなく、「仕事の難しさや責任を理解する」「仕事を選ぶ上で大切なことに気づく」といった目標が提示されていて、その2時間の中でしっかりそこに到達する構成になっている。また、生徒たちもファシリテーターの方を本当に上司だと思いながら取り組んでくれていて、とても完成度の高い授業だと感じました。このプログラムを選んでよかったと確信しています。

「自分の人生は自分が主人公」という気付き

——生徒の変化を感じた場面はありましたか。

生徒の感想でとても印象的だったのは、「はたらくこと=大変、疲れる」というイメージが変わったという声でした。授業前は、「はたらくのは面倒」「生きるために仕方なくはたらく」というように、どちらかというと義務感でするものと思っている生徒も多かったんです。
でも授業後には「はたらくことがワクワクに変わった」という記述がありました。
自分の人生は自分が主人公で、どんな仕事を選ぶか、どうはたらくかは自分で決めていくもの。そう気づいた瞬間に、生徒の表情や考え方が変わったように感じました。

インタビュー

探究テーマの中で生徒自身が語った「はたらいた先にある誰かの幸せ」

——その後の探究学習にもつながったと伺いました。

はい。ワークショップの後、生徒一人ひとりが自分の探究テーマを立てました。例えば、「自分のスキルはキャリアにどう影響するのか」「社会に貢献できるはたらき方とは何か」といったテーマで調べたり、大人にインタビューをしたりして学びを深めました。
そして文化祭では代表の生徒が発表をしたのですが、その中の一人の内容がとても印象的でした。
その生徒の探究テーマは、「仕事から楽しさや充実感を得るには?」というものでした。
調査を通して、その生徒は次の2つの答えにたどり着いたんです。
1つ目は、仕事で自分の目標を持つこと。目標を達成することで成長を実感でき、それが楽しさや充実感につながる。
2つ目は、自分がはたらいた先にある誰かの幸せを考えること。
自分の仕事で誰かが幸せになると思えれば、前向きにはたらくことができる。そしてそれが自信や誇りにもつながる、と。
この発表を聞いたとき、私は思わず「はたらいて、笑おう。」という言葉を思い出しました。
誰かの幸せを考えてはたらくことが、結果的に自分の幸せにもつながる。まさにその考え方を、中学生が自分の言葉で表現してくれていたんです。忙しい日々の中で、大人でも忘れてしまいがちなことですよね。
でもその原点を、生徒たちはしっかり掴んでくれた。そう感じた瞬間でした。

キャリア教育に悩む先生方へ

——最後に、ワークショップの導入を検討されている先生方へ、メッセージをお願いします。

生徒の変容がこれだけ見て感じ取れる、そういった機会って、教員にとっての何よりのやりがいだと思うんです。今回のワークショップはそういったきっかけづくりになったと確信していますし、地域の外に出る職業体験だけがキャリア学習ではないとも思っています。
「はたらく」という本質を生徒が考える上で、本当に心から強くおすすめしたいなと思っています。

※掲載している内容・所属は取材当時のものです。