19期連続で会員数・売上増加。
九州発No.1ビジネスは
どう生まれたか?

~100%正社員採用、『社員に良し』を貫く『人』が中心の経営戦略

 

2019年11月1日、福岡市にて経営者、人事担当者を対象とした講演会「人と組織の未来アカデミー 九州」(主催/地域情報センター ふくおか経済、協賛/パーソルグループ)を開催。子ども向けのスポーツスクールを運営し、全国トップの会員数を誇るリーフラス株式会社の代表取締役・伊藤清隆氏が登壇し、「九州発No.1ビジネスはどう生まれたか? -『社員に良し』を貫く『人』が中心の経営戦略-」と題した講演を行った。

2001年の設立当初より、100%正社員採用および終身雇用を導入。さらに希望勤務時間制度、希望勤務地制度、希望人事制度などを充実させ、「社員に良し」を徹底的に貫いてきた背景、さらに「日本の社会課題をスポーツで解決したい」という想いが生み出すビジネスの現在、そして今後の展望について語った。

スポーツで社会課題を
解決する 
―全国約3,000箇所、会員数46,000人以上まで拡大

リーフラスは「スポーツを変え、デザインする」を企業理念に掲げ、あらゆる社会課題をスポーツにより解決するソーシャルビジネスを実践する企業である。「日本の子どもたちがスポーツする場所がない」といった社会課題の解決を目指して始めたビジネスで、現在、32都道府県、約3,000箇所に小学生以下の子ども向けにサッカー、野球、バスケットボールなど10種目のスクールを展開。会員数は日本でNo.1の46,000人以上にもなる。

「2000年以前は小学生以下の子どもたちがスポーツをやるには、地域のボランティアが土日祝に運営している少年団に入るか、クラブチームやリトルリーグに入るしかありませんでした。私たちが始めたのはこの2つとは違う、スポーツがあまり得意じゃない子どもたちが平日に通うことができるスクールでした」(伊藤氏)

教えるのは、野球やサッカー、バスケットボールなどの元プロスポーツ選手や大学の運動部出身のスポーツ指導員で、全員がリーフラスの正社員として採用されている。指導員としての教育・育成をした上で、子どもたちの指導に当たっている。会員数は19期連続で増加、そして売上も19期連続で増収を果たし、今期の売上高は55億円を超える見込みである。

「ほかのスポーツスクールは『勝つために、うまくなるためにどうするか』を教えますが、うちのスクールではその前に子どもたちの人間力、思いやりや協調性、リーダーシップ、コミュニケーション、やりぬく力といった非認知能力をつけていくことが重要と捉えていますので、認めて、褒めて、励まし、勇気づける指導を行っています」(伊藤氏)

部活動の絶対服従の慣例を破る 
―勝てるのは自立した選手とチーム

スポーツにおける社会課題として、まず思い浮かぶのは「体罰・暴言・しごき」だろう。中学・高校の運動部活動、大学の体育会、プロスポーツにもこうした気質は蔓延している。なかでも中学・高校の運動部活動での「体罰・暴言・しごき」は日本社会における大問題であり、中の見えない「ブラックボックス」となっていると伊藤氏は言う。

「中学・高校という多感な時期に体罰や暴言といった支配的なコントロールを受けることで『上の人の言うことには、絶対服従』という考え方が染み込んでしまいます。体罰や暴言では自立した精神を作ることはできません。これまでは『監督の言うことだけ聞いていればいい』とされてきましたが、今のスポーツ界を見ればわかるように、中学でも高校でも大学でも、勝てるのは自立した選手、自立したチームです」(伊藤氏)

日本においてスポーツは体を鍛えることと混同されがちだが、スポーツの語源は「楽しむ、遊ぶ、気晴らしをする」という言葉から来ていて、世界においては「スポーツ=楽しむもの」である。そこでリーフラスは「部活動をスポーツに変える」というミッションを掲げている。

「現在、自治体の依頼を受け、17の中学校において部活動の指導を行っています。ブラック部活動を本当の意味でのスポーツに変えることで、日本の社会がより良いものになっていくと考えています」(伊藤氏)

 

「社員に良し」を徹底的に貫き、
77名の採用枠に6,000名以上が面接に

また「人と組織」という観点からみて、創業時から「社員に良し」の徹底的に貫く姿勢はリーフラスならではの特色だ。なかでも最も象徴的な制度が「100%正社員主義」だろう。しかも終身雇用制で定年がない。

「普通、スポーツの先生といえばアルバイト、あるいはボランティアと思われがちですが、私はスポーツを教えることを職業にしたいと考えています。終身雇用制で定年がないという仕組みをとっているのは、歳をとってからも年々減り続けている少年団の受け皿として、地域密着で子どもたちにスポーツを教えてくれる人材になってほしいと考えているからです」(伊藤氏)

ほかにも、自分の都合に合わせて勤務時間を選べる「希望勤務時間制度」、希望者以外は一切転勤させない「希望勤務地制度」、希望するキャリアの方向性を最大限配慮し、関係ない業務に無理やり従事させることのない「希望人事制度」など社員のワークライフバランスに配慮した制度を数多く導入している。

「もし、子どもの運動会や学習発表会の日に出勤したら逆に怒られます。我々は子ども向けのサービスを提供している会社です。自分の子どもに寄り添えないのに、ほかの人の子どもに寄り添えるわけないと考えるわけです。」(伊藤氏)

「社員に良し」の会社をつくろうと思ったのは、伊藤氏ほか6名の創業時メンバーの前職が超ブラック企業だったのが理由だ。伊藤氏は大学卒業後15年間勤めていた間、1年365日ほぼ休みはゼロ。朝の9時から夜の9時まで働いて、土曜日はもちろん、営業成績が悪いと日曜日も出勤していたという。

「会社の業績は良く、上場もしたのですが、社長とその一族だけがうるおい、社員の給料は下がり、雇うのはアルバイトや契約社員ばかり。『人件費を減らせ、社員をこき使え』という。社長に何度も『それはおかしい』と意見をしましたが、全く聞き入れてもらえず、辞めざるおえない状況になりました。だからこそ『社員に良し』の会社をつくろうと決意しました」(伊藤氏)

2019年の採用では、大学新卒を中心に77名にスポーツ指導員として内定を出した。たった2つのエントリー窓口から、6,000人の学生が面接に訪れたという。

「人を大切にする会社だということを学生さんたちに広く知ってもらえたからだと思います。『起業は大変でしょう』と言われることもありますが、前職で嫌々だったとはいえ、管理職として『社員に悪し』の片棒を担がされていた時に比べたら、今は楽しくてしょうがありません。『社員に良し』が一番です」(伊藤氏)

元プロスポーツ選手のセカンドキャリア、
教員の働き方改革にも取り組む

リーフラスではプロスポーツ選手のセカンドキャリアも社会課題としてとらえている。日本ではせっかくプロスポーツの世界に入っても、引退後、監督やコーチになれるのは一握りで、ほとんどの人にとってはセカンドキャリアの道が開けていないのが現状だ。伊藤氏はそうした人たちにセカンドキャリアとして『スポーツを教える仕事』を提供したいと考え、元プロスポーツ選手の採用を積極的に行なっている。

さらに、今後、中学・高校の運動部活動の指導を元スポーツ選手が活躍できる場として考えているという。
「リーフラスでは17の中学校で部活動の指導を行っていますが、これは自治体や学校からお金が出ていることで成り立っています。もし全国の中学校で、同じように民間が参入できれば元プロ選手を始め、多くの人がスポーツを教えることで生計を立てることができ、『スポーツを教える仕事』への社会的認知が広がります」(伊藤氏)

これまで中学・高校の運動部活動では、そのスポーツもやったことがない教員が指導することが常態化してきたが、「働き方改革」の気運の高まりによって、教員の負担を減らすべく、部活動の指導の外部委託化が検討されはじめた。

「元プロのすごい人たちから、『認めて、褒めて、励まし、勇気づける』指導を受けられる。そうなれば、中学や高校時代から、自立心のある人材を、スポーツを通して育成することができます。きっと日本はより良くなっていくでしょう。それこそ私たちの企業活動の目指すところです」と講演を締めくくった。

 

本記事は2019年11月1日開催の「人と組織の未来アカデミー 九州」の講演を記事化したものになります。

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