全世界で人的リソースを一元管理、
タケダのグローバル経営の意思決定を支援

グローバルMSPと派遣管理デスクの連携により、
各国規制の障壁を超えた人事戦略のグローバル最適化とガバナンス強化を実現

医薬品製造業

人材派遣

海外サービス

課題テーマ
組織・人事 グローバル コンプライアンス
武田薬品工業株式会社 /
業種:医薬品製造業/設立:1925年
1781(天明元)年創業の老舗製薬企業。「アリナミン」や「ベンザブロック」などの市販薬でも知られるが、収益の9割以上は医療用医薬品が占めています。「オンコロジー(がん)」、「希少疾患」、「ニューロサイエンス(神経精神疾患)」および「消化器系疾患(GI)」の4分野に加えて、「血漿分画製剤」、「ワクチン」を重点領域に研究開発を進めています。約240年の歴史の中で培われた同社の普遍的価値観である「タケダイズム(誠実:公正・正直・不屈)」を根幹に、「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」というミッションの実現を目指しています。

約240年前、江戸時代に大阪で創業した武田薬品工業株式会社(以下、タケダ)は、現在約80の国と地域に事業拠点を持ち、グローバルで従業員数は約5万人。そのうち日本人比率は2割以下だ。グローバル本社は日本にあるが、研究開発拠点はグローバルでの創薬の主戦場に米国に主要機能を置くというように、各国の特徴を生かした拠点展開を行いながら、それらが有機的に連携してビジネスを進めている。

多くの従業員を擁する大企業だけに、以前から契約社員、派遣社員など臨時社員を多く雇用しており、これまでは各国が別々に雇用・管理してきた。それをグローバルで一元管理することで、グローバルにおける最適な人材配置やガバナンスの強化を実現するため、パーソルグループ(以下、パーソル)とパーソルのパートナーである米国の大手人材サービス会社ケリーサービスが提供するグローバルMSP(Managed Service Provider)サービスを導入することとなった。日本で既に導入していたパーソルグループのパーソルテンプスタッフが運営する「派遣管理デスク」と連携することで、ワールドワイドでの安定的で効率的な人材の管理やコストの適正化、コンプライアンスリスクの軽減を実現している。

全世界のコスト適正化と
コンプライアンスリスク低減を目指し、
臨時社員の情報をグローバルで一元管理

タケダでは以前から社員に関してはグローバルで人材情報を把握し適正配置や育成などを進めてきたが、臨時社員についてはその情報管理の方法を各国で統一されていなかった。しかし、臨時社員の雇用に関しては各国の規制対象であるため、各国の法制度に確実に準拠した運用が求められる。特に訴訟リスクが高い米国などでは問題となっていた。

 
武田薬品工業株式会社 グローバルHR タレントアクイジション(日本) ヘッド 濟木 俊行 氏

また、それ以外にコストの課題もあった。武田薬品工業株式会社 グローバルHR タレントアクイジション(日本) ヘッド 濟木俊行氏は、「製薬には莫大な研究開発費がかかりますが、一旦製品ができると製造原価の割合は高くありません。そのため製薬会社には研究開発が順調なら利益率が高いという構造があり、以前の当社は比較的コスト意識が低かった。しかし、2010年を過ぎた頃から大型製品の特許期限切れが迫る中、今後どう利益を生むかが大きな経営課題となりました。そこで、間接部門のコスト抑制が求められ、その一環として人的リソースに関する今回のプロジェクトが始まりました」と説明する。
これらの背景から、臨時社員の採用や管理についても、リスクやコストを低減できることを見込み、グローバルで一元管理をできる仕組みの検討を開始した。

日本独自の派遣法に準拠した
「派遣管理デスク」を導入
コスト適正化とリスク低減に加え、
派遣管理業務の効率化も実現

日本でも派遣従業員の管理に課題感があった。国内では拠点ごとに個別に運用しており、統一の業務フローもないため多くのムダが発生していた。また、必要な人員を部門の予算範囲で自由に採用していたため、マーケットの適正価格を把握しないまま採用し、コストが高止まりするような状況もあった。
武田薬品工業株式会社 グローバル購買 ヒューマンキャピタル リージョナルカテゴリーマネジャー 竝木英明氏は、「当時、当社のトップが外国人に変わり、古き良き日本的経営からグローバル経営に舵を切る変革期でした。それに伴い社内の仕組みを変えようという機運が生まれ、派遣スタッフ管理の統一化を図ることになりました」と語る。
そこで外部パートナーの担当者が派遣スタッフに関するあらゆる業務を代行する「派遣管理デスク」を導入することに決め、5社の人材派遣会社に提案を募った。その結果、プロジェクトメンバー全員の総意で、テンプスタッフに任せることに決定。竝木氏は「コストの優位性やオペレーションを正確に回すだけでなく、当社の課題を発見してソリューションを提案する、という踏み込んだ姿勢が我々の心に響きました」と話す。

 
武田薬品工業株式会社 グローバルファイナンス
グローバルリアルエステート・ファシリティズ&プロキュアメント
IT&プロフェッショナルサービス
ヒューマンキャピタル
リージョナルカテゴリーマネジャー
竝木 英明 氏

テンプスタッフが提供し、派遣管理システム「e-staffing」を利用した派遣管理デスクは、2016年4月から稼働。中立的な立場で各社から派遣される人材の採用や管理業務を行っている。

派遣管理デスクの導入により、従来の社内の専門部隊から個々の派遣会社へ発注する業務が不要となった。竝木氏は「社内のスタッフでは、人材の業界における法改正の動向や他社の状況などまで把握するのは困難です。その点、パーソルのスタッフは派遣に関する専門知識や市場動向にも詳しく、当社のことも理解したうえで管理・運営してくれるので大変助かっています」と評価している。また、従来拠点や部署ごとに異なっていた業務フローを統一したことで、大幅な効率化にもつながっている。
派遣従業員の労働時間の可視化により、労務管理が容易になったという効果も出ている。「ある部署の残業が恒常的に多いといったことが把握できるようになり、会社として素早く必要なアクションを取れるようになりました」(竝木氏)。

日本と海外のそれぞれの法制度に
合わせたサービス導入で
グローバル一元管理を目指す

一方グローバルのプロジェクトも、ほぼ同時期に進んでいた。グローバルで導入しようとしていたのは、グローバルMSP(Managed Service Provider)サービスだ。これは企業内で働く外部人材の総合管理サービスである。外部パートナーの担当者が企業内に常駐し、採用要件から派遣会社や人材を選定し発注。管理業務の代行だけでなく、派遣会社ごとのパフォーマンスを評価したレポートを提出し、改善提案も行う。
海外ではMSPサービスは一般的で、派遣従業員だけでなく、フリーランスや業務委託についても一元管理が行われている。しかし、日本では「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(派遣法)」により、フリーランスや業務委託と派遣従業員の一元管理をすることは難しい。日本と海外でグローバルMSPを同じ形では導入できないと判断し、既に導入していた派遣管理デスクを活用しつつ、グローバルとデータ連携を図る道を探った。濟木氏は「テンプスタッフの派遣管理デスクはコスト競争力もあり、派遣法を遵守しながら安定運用できているので、よほどの理由がない限りそれを覆すことはできない。そのため、海外側との協議では、日本側の着地点は、派遣管理デスクを使いながらグローバルMSPにデータを送り、グローバルで可視化できるようにすること、と訴え続けました」と語る。
グローバルMSPサービスのパートナー企業の選定は、2016年バルセロナでの会議で本格的にスタートした。7社がそれぞれ1時間半のプレゼンテーションを実施し、その中にケリーサービスの名前があった。グローバル化が進んでいるとはいえ、タケダは日本企業である。そのため、海外だけでなく日本でのサービスがしっかりサポートされていることも大きな要件だ。「そのプレゼンテーションの中で、ケリーサービスは日本のパートナーがいると強調し、それが当社ですでに業務委託をしていたテンプスタッフでした。そもそも他社は日本の実績があっても、大手外資系がメインです。そのため、ケリーサービスに決まればスムーズにプロジェクトが進められると思い、日本としてパーソルとケリーサービス連合への賛意を伝えました」(濟木氏)。
最終的にはケリーサービスが製薬業での実績があったことや、タケダの米国拠点で長らく利用していたMSPサービスに課題感があったことなどにより、ケリーサービスがタケダのグローバルMSPサービスの新たなパートナーと決まった。

日本拠点では派遣管理システム「e-staffing」
を生かし、グローバルでデータ連携

グローバルMSPサービスの導入は、2017年春頃からスタート。米国、英国、スイスの3か国から着手し、第2弾として日本とその他のヨーロッパ諸国、第3弾としてそれ以外の国々へ展開することとなった。
システムにはSAPの人財シェアリングプラットフォーム「Fieldglass」を利用。日本では、e-staffingのデータをFieldglassに吸い上げ、可視化できるようにした。グローバルは、システムと運用全体を統合したいという考えが強いため、そうならないよう日本側から派遣管理デスクのメリットを訴え続けた。
グローバルMSPサービス導入のポイントとして、濟木氏はグローバルレベルでの組織構造統一の重要性を語る。「当社はグローバルで統一した人事管理システムを導入しており、組織や人事階層を統一していました。グローバルMSPサービス導入時には、それをほぼそのまま活用できました。グローバルを一つの組織と見て管理できる環境がないと、こんなに早く実現することはできなかったでしょう」。

派遣管理デスクのデータを活用し、
分析・レポート機能の強化や管理対象の
拡大を検討

現在プロジェクトの途上ではあるが、グローバルMSPサービスの稼働によって、今まで見えなかった臨時社員の状況が可視化できるようになった。グローバルで管理する臨時社員は、二千名にのぼる。「グローバルの経営において臨時社員を含め全体的に把握できるようになりました。この情報を活用して様々な改善活動を進めたり、逆に正社員の配置を考えたりといった施策立案や意思決定への適用も可能になります」(竝木氏)。
日本拠点としては、グローバルMSPと派遣管理デスクの併用が、経営判断の精度・スピードを高め、情報を一層高度化していくことにつながるよう取り組みを進めている。具体的には、レポーティング機能の強化だ。Fieldglassには強力な分析機能があるため、e-staffingのデータを使って派遣従業員の人数やコスト、期間といった管理する上でのポイントをまとめたダッシュボードの構築を進めている。「派遣管理デスクとケリーサービスに加わってもらい検討を続け、間もなくスタートできる目途が立ちました。今後はそれを使ってビジネス部門と相談し、改善を続ける予定です」(濟木氏)。
グローバルに情報提供するだけでなく、日本としての活用も進める。e-staffingで収集するデータを基に、目指す組織を実現するためのシミュレーションができる環境を構築する予定だ。
パーソルについて濟木氏は、「日本の派遣の実績が豊富で、派遣法についても詳しく、ワンストップであらゆることを提供してくれる心強いパートナーです。グローバルとの接続に関してもケリーのチームとうまく連携し、日本的なサービスとグローバルのハンドリングをバランスよく提供してくれます」と評価している。竝木氏も「派遣管理デスクを設置してからも、毎年のように労務に関する法制度が変わる中、タケダとしてどの方向に動くのが正しいかを、対等なパートナーとして議論できるのは非常にありがたい」と語った。

 

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