年間350名が早期退職する現場
―採用難の小売業界をどう生き抜くか

「採用しても辞めていく」を断ち切るパーソルの“定着する組織づくり”

小売

コンサルティング

課題テーマ
組織・人事 教育・研修
株式会社エムアイフードスタイル /
業種:スーパーマーケット・小売・専門店業・食品製造・卸売
三越伊勢丹グループの「食」を担う製販一体型企業として、「食生活を通じて、『豊かなライフスタイル』のご提案はもとより『価値ある体験』をご提供し、お客さまの日々の生活に『ささやかな感動と喜び』をお届けします。」というミッションを実現するべく、自社工場での食品製造から小売までを手掛けている。
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    株式会社エムアイフードスタイル 管理本部 人事部長 大原 氏
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    株式会社エムアイフードスタイル 管理本部 人事部 山田 氏
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    パーソル総合研究所 フィールドHRラボ ビジネスパートナー 藤川 氏

エムアイフードスタイルは首都圏を中心に、精肉・鮮魚・惣菜・ベーカリー・グロッサリー・日配をすべて備えた食品専門の高品質スーパーマーケット「クイーンズ伊勢丹」を展開。日常の食卓はもとより、記念日や誕生日といったハレの日に、おいしい食事を楽しみながら大切な人と過ごす幸せなひとときを、地域のお客様にお届けするべく社員一丸となって取り組んでいる。

離職率40%の改善が急務。
経営の健全化に向けて新人スタッフ教育の体系化を目指す

 

三越伊勢丹グループのブランドイメージを活かし、「お客様に愛される地域一番店」を目指すクイーンズ伊勢丹では、店舗スタッフの接客にも高い品質が求められる。「こだわりの商品を店頭に置くだけでは、商品は売れません。こだわりをお客様にどう伝えていくかが大切です」とエムアイフードスタイル 管理本部 人事部長 大原氏は話し、こう続ける。「三越伊勢丹グループでは、売り場という言い方はしません。売る側の視点ではなく、お客様の目線からお買い物をする場所ということで『お買場』と呼んでいます。クイーンズ伊勢丹のお買場では、お客様に満足していただくことを第一とした接客を目指しています」

 

クイーンズ伊勢丹のお買場で接客の主戦力となっているのが、アルバイト・パートの従業員だ。同社の全社員2,176名(2018年4月現在)の内訳は、月給制社員637名に対し時間給社員1,539名である。店舗に目を向けると月給制社員:時間給社員は、大規模店で30名:150名、中規模店で20名:100名の体制で運営している。最低賃金の引き上げや有効求人倍率の上昇によりアルバイト・パートの採用がますます難しくなる中、企業の成長を支える人材確保は同社においても重要な経営課題となっている。その深刻度をあらわす数字が、入社1年以内の離職率40%(2017年)だ。
「採用難の中、毎年350名のアルバイト・パートの方が入社、退社を繰り返している現状は非効率であり、健全な経営とはいえません。募集に要する広告費や派遣社員活用による人件費も増えるばかりです。トップも人材確保における離職率低減を経営戦略における上位の課題と位置づけています」(大原氏)

 

なぜ、アルバイト・パートの早期離職率が高いのか?同社は社内アンケートを実施する中で、「入社後、ほったらかしにされているのではないか」という課題認識を持ったと大原氏は話す。「青果や鮮魚、精肉など店舗の現場では、『背中を見て覚える』といった職人的な考え方がまだ根強く残っています。教えることが苦手なリーダーも多く、その結果、ベテランの時間給社員の方に最初から新人を任せてしまっている部門も多くありました」
同社はこれまで手を打ってこなかったわけではない。本社で時間給社員の入社時研修などを行ったが、定着にはつながらなかったという。「社員に対する教育体系のように、アルバイト・パートに対する教育の体系化が急務でした。問題なのは、そのノウハウが全くなかったことです」(大原氏)。自社のみで取り組むことに限界を感じた同社は、さまざまなシーンで同社の人事戦略を支援していたパーソルグループに時間給者定着のための相談を持ち掛けた。その背景として、2018年6月、パーソル総合研究所にアルバイト・パートの採用・育成・定着に関する課題解決を本格的に支援する「フィールドHRラボ」が設立されたことが大きいと大原氏は強調する。

第三者視点からの気づきをもとに、
課題解決に向けて一緒に取り組む

2018年8月、同社はフィールドHRラボによるコンサルティングの導入を開始した。まず最初に、課題の認識と共有を目的にバックヤードでのオペレーションを見てもらったと大原氏は振り返る。「内部にいると固定観念から当たり前だと思っていたことが、違う視点から見ると新たな発見があることがわかりました。当社は部門ごとに縦割りとなっている面が強く、部門を超えた交流や協力は希薄の傾向にあります。それを踏まえたうえで、この仕事は他部門でもできるのではないか、他部門志望の方にも体験する機会を与えれば、この仕事がしてみたいという人もいるのではないかなど、内部からでは出てこない違う切り口やヒントなどいろいろ“気づき”がありました」
経営側も人事部も、課題を抽出し体系立てて取り組んでいくアプローチを行いたいと思っていたが、その手法は手探りだったと大原氏は語り、「フィールドHRラボに協力いただければ、これで一気に進むことができると、私も含め早期離職問題に取り組んできたメンバーはそう確信しました」と力を込める。

新人スタッフの離職率低減に向けた
「ウエルカムブック」作成プロジェクトを始動

2018年11月、同社はフィールドHRラボによるコンサルティングのもと、アルバイト・パートの早期離職率を改善するために「ウエルカムブック」作成プロジェクトをスタート。同ブックは時間給社員に対し入社時に配布するもので、視覚的にわかりやすく、クイーンズ伊勢丹の特徴を紹介するとともに、定着化に重要なポイントとなる【入社した最初の1か月】に焦点をあてている点が特徴だ。
フィールドHRラボから同ブックのフレームワークを提示し、それをもとに同社の人事部と、店長を束ねる店舗運営部が内容の検討を行った。同ブックの作成を支援したフィールドHRラボ ビジネスパートナー 藤川氏は「入社後、新人スタッフの方にいかに歓迎感を感じてもらうかの最初の印象がとても大事です。当初の目的である方向性がぶれないようにプロジェクトを導きながら、私たちの持つ知識やノウハウをご提供しつつ、何度も検討を重ね、一緒につくっていくことを大切にしました」と話す。
フィールドHRラボに依頼して良かったと思う点について、同社 管理本部 人事部 山田氏は「『ここは人事部で考えないといけない部分』というポイントを明確に示してくれたことで、専門家にすべて任せてしまうのではなく、自分たち自身で課題を解決するのだという気持ちで取り組むことができました。検討中は密に連絡をとってくださり、指摘やアドバイスを惜しみなく提供してくれました」と話す。

2018年12月、「ウエルカムブック」の事前導入実施に先立って、店長会議でその目的や内容についてプレゼンテーションを実施。「人事部から説明すると、店長にどうしても“やらされ感”が芽生えてしまう点を懸念していました。そこで第三者の立場である藤川さんに“なぜ、この取り組みが大事なのか”を伝えてもらいました」との大原氏の言葉に藤川氏も応じる。「新しいことを現場に浸透させ、定着を図るために大事なことは、現場で働く方が目的意識をもって取り組むことです。ウエルカムブックは、課題解決のための第一歩であることを認識してもらう必要がありました」

新人スタッフと社員のコミュニケーションを重視し、
入社時の歓迎感をもたせる

ウエルカムブック導入によりアルバイト・パートにおける入社時のシーンが大きく変わったという。「従来、休憩所で新人スタッフがぽつんと一人でいるといった光景がありました。ウエルカムブックには、新人スタッフが声をかけてもらえる仕掛けを随所に施しています」と大原氏は話す。入社した最初の3日間は実務を行うことなく、コミュニケーションに重点を置き、店長がマンツーマンに近い体制で新人をフォローする。1日目、店長が新人に対し店舗を案内し、会話する中で互いを理解しあう。2日目、他部門のリーダーとの顔合わせに加え、一緒に働く仲間にインタビューを行い、互いが知り合うきっかけをつくる。3日目、所属する部門ではなく他部門で仕事を体験する。他部門で顔や名前を憶えてもらうとともに、他部門の仕事の面白さや難しさを知ることで、部門横断によるプライベートブランド商品についてお客様に説明する際にも役立つ。4日目以降は、自分の配属部門でPDCAサイクルを意識した実務の習得に注力し、入社1か月後に振り返りとして再度店長とコミュニケーションをとるプロセスになっている。

 

2019年1月、「ウエルカムブック」を本格的に導入し、合わせて店長、店次長、チーフ向けに「インストラクターガイド(オリエンテーション実施者向け手引書)」を作成した。「インストラクターガイドはウエルカムブックを本格的に展開するためだけのツールではありません。店長やチーフに昇進した際、研修会でスタッフをマネジメントするときの心構えや留意点などについて説明してきましたが、それを明文化したものです。藤川さんにお願いし、インストラクターガイドの研修会を実施する計画も立てています」(山田氏)

店舗や人事部に寄り添ったコンサルティングで、
社員の意識改革と離職率低減を確立

 

ウエルカムブック導入後、店長によってその活用の仕方は温度差があるものの、“やらなければいけない”という機運になってきたと大原氏は笑顔で話す。「店長会において店長同士の会話の中でウエルカムブックという言葉がよく出てきます。それは社内に浸透してきた証です。早期離職率改善に向けて、数字的にも効果があらわれてきています」
現在、ウエルカムブックはさらなる改善の一助となるよう、内容をブラッシュアップした改訂版を作成。店舗だけでなく、自社工場のページをプラスしたと山田氏は話す。「自社工場での製造工程やこだわりを理解していると、お買場でお客様に対する説明がスムーズかつ熱意を持って行うことができます。店舗だけでなく工場にも配布しており、会社全体の一体感の醸成にも役立てています」(山田氏)

今後、ウエルカムブックの浸透・定着はもとより修正し進化させていくのは、店舗運営部が中心になるという。「2019年4月、店舗運営部の配下にオペレーション推進部トレーニンググループという組織を立ち上げました。ウエルカムブックの4日目以降は、トレーニンググループが各部門に特化した初期トレーニングを実施していきます。e-learningシステム導入に加えて、どうe-learningを活用してったらいいのかといったサポートについては、引き続きフィールドHRラボに支援をお願いしています。」(大原氏)

 

アルバイト・パートの人材活用という経営課題の解決では、課題を自分事として捉え、自ら改善に取り組むボトムアップが重要なポイントとなる。「今回、フィールドHRラボのコンサルティング導入は、単なるツールの作成・活用ではなく、自分たちで現場の働き方を改善していくきっかけとなりました。意識改革も含めて早期離職率低減を図る基盤を確立できたことで、当社の成長に大きく貢献できます。当社の店舗と人事戦略の両面を理解しているパーソルグループには、今後も採用から育成、定着、活躍までの一貫したサポートを、大いに期待しています」(大原氏)

大原氏からの期待の声を受けた藤川氏はこうしたお客様の期待にいかに応えていくか、今後パーソルグループが目指す方向を示し、締めくくった。
「パーソルグループはdodaやanといった社員やアルバイトの採用支援はもちろんのこと、今回のような定着支援、そして活躍をサポートする研修など様々な機能を持っています。お客様が困っていることを『それは担当ではないのでできない』と突き返すのではなく、それらの機能を組み合わせ、あらゆる角度からご支援ができるのは他にはない我々グループの最大の強みだと思っています。今後も、人と組織の課題解決パートナーとして、我々にしかできないお客様に寄り添ったソリューションのご提供ができればと考えています。」

 

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