能動的な“攻め”の人材採用「ダイレクトリクルーティング」とは

 

2021.06.02

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採用のあり方が多様化し、大きな転換期を迎えている今、注目されているのがダイレクトリクルーティングです。企業側が求める人材に積極的にアプローチして獲得する新たな採用手法の内容と、有効に活用して成功に導くためのポイントを紹介します。

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目次

“攻めの採用”ダイレクトリクルーティングとは

ダイレクトリクルーティングとは、どのような採用手法なのでしょうか。ダイレクトリクルーティングは和製英語であり、英語のダイレクトソーシングとほぼ同義で使われます。第三者を介さず直接採用活動をする、スカウト活動のような能動的な手法です。

従来、企業の採用活動といえば求人メディアや求人広告への掲載、人材紹介会社やハローワークの活用し、希望者の応募を待つ“受け身”のスタイルが主流でした。対して、ダイレクトリクルーティングとは自社にマッチした人材を自ら探し、直接アプローチする採用手法です。

ダイレクトリクルーティングと、求人広告、人材紹介の違い

 

VUCA時代に求められるダイレクトリクルーティング

アメリカでは一般的な採用手法だったダイレクトリクルーティングが、日本でも注目を集めるようになった背景には、少子高齢化など社会構造の変化による人材不足が挙げられます。労働力人口が減少し、“売り手市場”と言われる今、企業が自社に最適な人材を迅速に採用することは、重要なミッションになっているのです。

ポイントになるのが、VUCA(ブーカ)というキーワードです。ビジネスを取り巻く環境は日々変化し、そのスピードは年々加速しています。変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字を組み合わせたVUCAが象徴するこの時代に、企業として持続的な成長をするためには、変化に対する適応力、これまでの経験や知識だけに依存しない人材の確保が必要です。

だからこそ、日本の終身雇用を前提とした、長期的な視点で成長を見守るスタイルをベースにした人材採用では、対応が難しくなっています。さらに、従来の基準、既存の枠内での採用活動では獲得できなかった潜在的な人材を発掘する必要性が高まったことも、ダイレクトリクルーティングへの関心が高まった理由の一つと言えるでしょう。

SNSの浸透がダイレクトリクルーティングを後押し

ダイレクトリクルーティングが広まるきっかけとなったのが、採用チャネルの多様化です。企業が独自にビジネスSNSを形成することが一般的になったこと、人材データベースを提供する企業が増えたことも相まって、企業が人材と直接接点を持ちやすくなりました。従来の求人メディアや求人広告出稿のコストが負荷となっていた企業にとっても、独自のルートを確立できる魅力的な手法です。

近年は、新型コロナウイルス拡大防止の観点から、合同説明会や学内説明会など、これまで主流だったイベントを通じての採用活動がままならないことから、SNSを使ったダイレクトリクルーティングに着手する企業も増えています。

ダイレクトリクルーティングの主な手法

では、ダイレクトリクルーティングには、どのような手法があるのでしょうか。具体的に見てみましょう。

ダイレクトリクルーティングの種類

・ビジネスSNSを活用して独自に発信
・採用イベントで参加者にアプローチ
・社員や退職者の紹介によるリファーラル採用
・人材データベースの活用

ビジネスSNSを活用して独自に発信

企業がFacebookやTwitterのアカウントを持つことで、独自に情報発信をしながら、企業が求めるスキルや価値観、経験値を有する人材に対して直接的にアプローチすることができます。フォロワーだけではなく、シェア・拡散により裾野を広げることができるのもSNSの魅力です。最近はビジネス特化型のSNSも登場し、徐々に認知度が高まっています。

採用イベントで参加者にアプローチ

勉強会やセミナー、ミートアップも、リクルーティングにとっては非常に有効な場です。

自社運営の場合は、自社の強みや経営者の思い、はたらく社員の様子などを参加者に知ってもらう好機にもなります。参加者は、自社への就職希望者ばかりとは限りませんが、交流を重ね、企業への興味を抱いてもらうことで、後々の積極的な採用につながる可能性もあります。企業の実情や社風を肌で感じてもらえる場になるので、採用後に「こんなはずじゃなかった」「想像と違う」というミスマッチも起こりにくいはずです。

他社が開催するイベントやセミナー、ミートアップに参加するという手段もあります。自社への興味・関心度を測りにくいという面もありますが、幅広く大勢の人と接点を持てる可能性があります。

いずれにしても、関心を高めるイベントの企画力、イベントでの自社PR力、さらにはアプローチしていく段階での折衝能力が、成功の可否を左右するといえるでしょう。

社員や退職者の紹介によるリファーラル採用

「リファーラル」とは、紹介、推薦を意味する言葉です。社員一人ひとりが採用担当としての意識、役割を持ち、自身の知人や大学時代のつながり、親族や友人のネットワーク、元同僚などの中から、自社に適した人材を発掘して紹介するシステムです。自らの知人に対して入社を薦めるため、リファーラル採用の成否は、社員一人ひとりの会社への愛情、理解度の深さが大きく関わることが想像できます。

かつての「縁故採用」にイメージは似ていますが、該当する候補者の入社が決まると、紹介者である社員にインセンティブが用意されるなど、採用システムとして制度化している点が大きな違いです。企業側は、紹介されたら必ず採用するというスタンスではなく、事業内容などを鑑みた上で適材適所をしっかりと見極めて採用します。

人材データベースの活用

ダイレクトリクルーティングを始める際に、最も導入しやすいのは、人材会社などが有する人材データベースを活用する方法です。この手法の場合、サービスを利用するための利用料や成果報酬が発生するのが通例です。

ダイレクトリクルーティング向けのサービスに登録されている人材のデータベース上から、企業が求める人材を検索し、スカウトメッセージを送信することによって直接アプローチをします。対象者の選定、スカウトメールの文章作成、該当者への送信、返信があった場合の対応など一連のやりとりは、基本的に企業側の採用担当者の業務になりますが、スカウトメールの送信を代行するサービスもあります。

ダイレクトリクルーティングのメリット

ダイレクトリクルーティングを有効活用するためには、そのメリット、デメリットを把握しておきましょう。

ダイレクトリクルーティングのメリット

・求める人材や転職潜在層に直接アプローチできる
・採用コストを抑えることができる
・採用ノウハウをストックできる

求める人材や転職潜在層に直接アプローチできる

ダイレクトリクルーティングの最大のメリットは、企業が求める人材に対して、直接コンタクトを取り、アピールできるという点です。企業側が求める条件で人材をピックアップし、自社に対して関心を抱いた人に絞って採用活動を進めることができるので、採用後のミスマッチを減らすという効果も期待できます。

また、従来の人材紹介サービスでは出会うことができなかったような人材に対してアプローチできる点も特色の一つです。例えば、転職潜在層への訴求です。「今すぐに就職したい」という層だけではなく、条件が合えばいつか転職したいという考えの人や、自社に対してまだ関心を抱いていないものの、自社の事業に必要なスキルを持った人に対して積極的に働きかけることができます。

採用コストを抑えることができる

ダイレクトリクルーティングの導入により、採用コストを抑えることが可能です。人材データベースの利用料と採用時の成功報酬という料金体系が一般的ですが、大半のサービスでは、人材紹介サービスの成功報酬より低く設定されています。

採用ノウハウをストックできる

たとえすぐに結果に結びつかなかったとしても、将来的な視点に立てば、企業にとっての利点は多々あります。有力な候補者と直接つながりを持ち、長期的なスパンでアプローチを続けられることもその一つです。また、採用に関する一連の過程を他社に頼らず、自社がワンストップで行うことで、スカウトメールのテクニック、候補者との接点の持ち方などさまざまなノウハウを蓄積できる点も、大きな財産と言えます。

ダイレクトリクルーティングのデメリット

ダイレクトリクルーティングのウィークポイントを押さえ、効果的に活用しましょう。

ダイレクトリクルーティングのデメリット

・採用担当者の業務負担が増大
・長期的な視点での体制強化が必要

採用担当者の業務負担が増大

コストを抑制できるということは、その分アウトソーシングしていた業務や人材サービス会社が行っていた業務を、自社内で担う必要が生じます。候補者の選定に始まり、候補者の心を動かすようなスカウトメールの文面作成、候補者からの返信対応、面接・面談の日程調整、内定後の合否連絡まで、採用業務の負担は増大します。

長期的な視点での体制強化が必要

ダイレクトリクルーティングを始めてから採用にいたるまでには細かな工程が多く、時間を要することが考えられます。また、候補者の就職意欲によっては、長期戦になるケースもあります。労力や時間をかけてアタックを続けたとしても、意中の候補者が採用に至るとは限りません。目先の成否だけではなく、長期的な視点で採用活動に取り組むことが実は成功への近道に。そのためにも、ダイレクトリクルーティング専任の担当者を置くなど、しっかりとした体制づくりが必要になるでしょう。

ダイレクトリクルーティングの成功事例

メリット、デメリットを含めダイレクトリクルーティングの特性を把握し、成功に至るケースも多々あります。一例をご紹介します。

事例1 母集団が小さくても専門職採用に成功

業種:専門職系
従業員数:100名以上
資本金:1,500万円

医薬品開発の受託サービスや製薬メーカーへの派遣サービスなどを手掛ける開発業務受託機関が、専門職の採用において、ダイレクトリクルーティングを実施。しかし、対象者は少なく採用ターゲットはわずか40名でした。

・候補者に複数回アプローチを実施
・候補者の気持ちの波を逃さないよう、メールの送信者や内容を変えながらアプローチメールを送信

採用ターゲットが少ないからこそ、継続的なスカウトメールを送る戦略を採用しました。自分たちの言葉で丁寧にアプローチを続けた結果、2名の採用に成功しました。

事例2 人気のITエンジニアの採用に成功

業種:IT
従業員数:100人以上
資本金:5,000万円

受託開発、開発支援業務、自社サービスの企画開発などを手掛けるIT企業が、常に人材不足だったITエンジニアの採用に向け、ダイレクトリクルーティングを実施。

・言葉遣いにこだわり、返信率の高いスカウトメールを試行錯誤して作成
・転職希望者の志向性に合わせ、求人票を送り分け。コードを書くのが好きな人には「エンジニアとしてキャリアが積める」、ジェネラリスト志向の人には「マネジメントやリーダー経験が積める」ことをアピール
・現場と連携して求める人材像をともに描く

といった施策を行いました。採用担当者は人事と労務を兼任しながらも、着実に候補者との距離を縮め、ITエンジニア採用に成功しました。

事例3 従来の企業イメージとは違う人材獲得に成功

業種:服飾部品メーカー
従業員数:40,000人以上
資本金:100億円以上

多角的な経営を目指す服飾部品メーカーが、転職潜在層など、従来の採用活動では出会えなかったような人材採用を目的に、ダイレクトリクルーティングを実施。

・人材データベースを検索して、求人募集では出会えないスキルや経験を持つ技術者を探す
・人事と現場が連携し、情報共有しながら、採用の目線合わせをする
・人事と現場が一緒にスカウトメールの文面を練る

企業イメージとは一線を画す技術者と出会うことができ、採用にも成功しました。また、人事と現場とがコミュニケーションを密に行ったことで、現場も採用活動を自分事として捉えられるようになったと言います。一体感のある採用活動を行った結果、採用後も人材がなじみやすい環境をつくることに成功しました。

事例4 知名度の低さを課題としていた企業が採用に成功

業種:工業メーカー
従業員数:20名(社員数)
資本金:3,000万円

社員数20名ほど、知名度の低さを課題としていた工業メーカーの事例です。ハローワークや人材紹介サービスで思うような結果が得られなかった中で、人事・採用に加え、総務・経理まで兼務する担当者がダイレクトリクルーティングへの挑戦を決意しました。

・採用候補者を選ぶのは現場
・スカウトメールの件名に「社長からのオファー」「マネージャーとして迎えたい」など、特別感を持たせて、初めから待遇を伝える
・候補者の一人ひとりのレジュメをチェック。希望に寄り添い、それに応えるような内容でメールをつくる
・土日に読んでもらえるように、週末の夕方以降に送信

企業の魅力を伝えるメールの文面を徹底的に研究し、候補者の思いに寄り添い、「あなたのことを考えているよ」という特別感が伝わるように創意工夫を凝らしました。地道なアプローチを続け、採用に成功しました。

【出典】パーソルキャリア株式会社「導入・採用成功事例」

成功事例から導くダイレクトリクルーティングのポイント

成功事例を検証すると、ダイレクトリクルーティングを成功に導くためのポイントとして、下記のような点が浮き彫りになってきます。

スピード感のある対応、細やかさ

候補者に対して、直接アプローチし、心を動かしていくためには、メールのリアクションなどスピード感が重要になります。また、すぐに採用という目に見える形で結果が出るとは限らず、長期的な視野で考える必要があります。

展望を持って細やかで丁寧に採用活動を進めるためには、確固たる体制を整備し、人的パワー、時間的パワーをしっかり投入することが成功の条件となるでしょう。

会社の魅力向上と会社一丸となったPR力

ダイレクトリクルーティングの場合、求職者は自社に対して必ずしも就職を希望している人とは限りません。そのような人の就職意欲を高めるためには、「はたらきたい」「自身の能力が発揮できそう」「楽しそう」と思われるよう、自社の魅力を向上させることが先決です。その上で、経営者の思いや、実際にはたらいている社員の活き活きとした様子を伝えるような採用コンテンツの企画、趣向を凝らしたスカウトメールの作成が肝になります。人事担当者だけではなく、時には社員が生の声でブログやSNSをアップするなど、社を挙げて実施する必要があります。

PDCAによる採用ノウハウの蓄積

最大のポイントはPDCAです。企業が自社の魅力を最大限に発信し、望む人材を採用するための手法として、ダイレクトリクルーティングをどのように取り入れていくかという計画をしっかり練ることが大前提です。

その上で、候補者とのやりとりを丁寧に進めることです。やりとりをする過程で得られた効果を検証、評価し、次につなげるための改善策を考える。このサイクルを繰り返すことで、効果を上げるポイント、ノウハウを構築していくことができます。

例えば、スカウトメールが思うような効果をもたらさない場合、文章表現が分かりにくくないか、魅力は伝わる表現か、スマートフォンに最適化されているか、送信する日時は相手の立場に立っているかといった、細やかな検証と問題点の改善が必要となるでしょう。

一つひとつの工程に対して、緻密に着実に取り組み、採用を進めていくことがダイレクトリクルーティングを成功に導くための不可欠な要素です。

時代をリードするのは採用に強い企業

いち早く変化に対応し、“攻め”の姿勢で採用市場をリードする企業になることは、これからの時代を生き抜き、成長を遂げるために欠かせない要素です。大きな可能性を秘め、混沌とする採用市場の一助になることが期待されるダイレクトリクルーティングですが、初めてダイレクトリクルーティングを行う場合には、白紙の状態から、自社で母集団を形成するのはハードルが高いと感じるかもしれません。

どこから手をつけたら良いか、どのようにステップアップしていくべきかと悩む場合には、自社に最適なダイレクトリクルーティングのサービスを利用するのもおすすめです。まずは導入として、ダイレクトリクルーティングに関するサービスを上手に活用しながら、ノウハウやスキルの構築、仕組みづくりを無理なく進めましょう。その上で、独自性をプラスしたダイレクトリクルーティングの採用スタイルを見出していくのが良いでしょう。

パーソルグループの関連サービス

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