事業計画書を作成する目的と読み手を納得させる書き方のポイント

 

2021.05.19

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事業計画書は、新事業が確実に遂行され、継続的に利益を上げる道程表とするため、または融資や助成金、投資を引き出すために作成します。大事なのは読み手を納得させること。読み手に納得してもらい、求める行動を得るための書き方を簡単に解説します。

目次

事業計画が必要な理由

なぜ頭の中にあるだけではダメなのか

会社を創業したり、新規事業を起ち上げようとしたりするときに作成するのが事業計画書です。新商品や新サービスがどれだけ魅力的で成功する見込みがあり、誰がいつ何をどのようにして、進めるのかを明らかにします。

そもそも事業計画書は、なぜ書くのでしょうか。

それは、まず事業計画書に沿って計画的に業務を進め、売上と経費を管理して継続的に利益を上げていく道程表にするためです。実際に書き進めると新商品や新サービスが自分としては素晴らしいものだと思えても、どこの誰のニーズをどれだけ満たすのか明らかでなかったり(売上見込みが立たない)、思ってもみなかったコストがかかって資金ショートする可能性が潜んでいたりする(資金繰りの見込みが立たない)、ということが分かります。書くことで頭の中にあるアイデアを整理したり、客観性を保って新事業が成功する現実味を増したりすることもできます。

または、融資や補助金・助成金を得るために書くこともあるかもしれません。ほかにも仲間と共有し一丸となって取り組むため、上長や社長を納得させて奮い立たせるためかもしれません。

こうした目的を持った事業計画書を書かなければならない理由は明白です。いかに素晴らしい新事業が頭の中に描かれていても、可視化されていなければ、日本政策金融公庫も、補助金を出す公的機関も、融資する金融機関も、共に闘う仲間たちも理解することができないからです。

つまり、事業計画書は「事業で確実に利益を上げるため」「他人を納得させるため」に書くものです。もう少し具体的に見てみましょう。

他人が納得するとはどういうことか

利益の元となる売上は、お客さまがお金を出す価値があると感じた商品・サービスを買うことで生じます。

では、なぜ価値があると考えたのでしょうか。それはお客さまにとって、その商品やサービスが必要不可欠と思われるものであるか、必要とする同じような商品よりも安いか、とにかくお客さまの生活や興味に対して、何らかの必要性を訴えかけるものがあったからだと考えられます。

事業計画書では、売上をできるだけ正確に見込む必要があります。それも、誰が読んでも「きっとそれだけ売れるな」と分かるように書かなければいけません。何が書かれていたら納得・信用するでしょうか。数字、お客さまアンケート、市場調査、官公庁による各種統計など、いずれにせよ、根拠が示されていない主張や他人の主観では、納得したり信用したりすることができないのではないでしょうか。

事業計画書を書くときに必要なのは、実はこうしたリテラシーです。リテラシーとは、まず「どの情報が信頼できるか判別する能力」、次に「適切に表現する能力」のことです。もちろん、発案者の経験の深さや技術・専門性、会計の知識も役立ちますが、それらは適切に表現されなければ他人を納得させられません。

書いていくべき項目を具体的に見ていく前に、他人を納得させる表現がいったいどういうものなのかを、さらに詳しく考えていきましょう。

他人を納得させるために必要なこと

驚くほど共通する問題点

総務省が、創業期・事業拡大期、ベンチャー創業準備中の方向けに公開している「事業計画作成とベンチャー経営の手引き」によると、多くの事業計画書に、驚くほど共通の問題点が見られるそうです。

事業計画に多く見られる問題点

・当社はこうしたい、こうしようということは一応書いてあるが、なぜその分野か、なぜその事業ビジョンを追求しようとするのか、検討不足・説明不足
・この事業がなぜ成長し、事業としてなぜ大変魅力的なのか、検討不足・説明不足。「技術が素晴らしい、アイデアが素晴らしい」からといって事業の成功とは直結しないが、多くの場合、混乱している
・顧客ニーズの把握が甘く、実際どのくらい切実なニーズがあるのか、顧客によってニーズがどのように異なっているのか、何が決定的に重要なのか、いつどうなれば本当に購入してもらえるのか、検討不足・説明不足
・全体的に戦略的な検討不足、説明不足で、事業計画の内容が数値計画中心
・競争優位性の説明が非常に不足
・社長自身、事業計画の内容を必ずしも信じておらず、絶対実行しようとのコミットメントもない

【出典】総務省「事業計画作成とベンチャー経営の手引き」より一部抜粋

そのほとんどが「検討不足」「説明不足」です。加えて、社長自身の熱意不足があげられています。これらは、ほぼすべて「他人を納得させる」リテラシーに属しています。

ここでいうリテラシーは、メディアリテラシーと呼ばれる能力です。インターネット黎明期からメディア論で著名な水越伸・東京大学教授は、メディアリテラシーを「メディア使用能力」「メディア受容能力」「メディア表現能力」と分けて考えています。

なかでも、メディア受容能力は他人を納得させるために有効だと考えられます。なぜなら、他人を納得させるためには、正しく計測された数値や正しく把握された事実といった確実な論拠をもって検討を積み重ねて表現するのが有効と考えられるからです。メディア受容能力によってデマや虚偽の情報を排除し、説明をしっかりとした事実や論拠で裏打ちすることができます。

特にメディアから正しい情報を判別して取得するためには、主に次の3つをよく吟味することが必要です。

1) 発信者は信頼できる情報源か
2) 一次情報か、二次情報か
3) 事実か、意見か

信頼できる情報源としては、官公庁とその外郭団体などの公的機関・自治体、大手新聞社、学者・士業・医療従事者など、その領域の職業専門家といった団体・個人があげられます。海外では国連と国連関係団体、各国・地域の公的な機関、国際的に公的な団体、大手報道機関などです。

一次情報とは発信者自身が直接見た・聞いた・体験したことの情報、二次情報とは一次情報を他の人が受け取って解釈・編集などした情報のことです。一次情報の方が信頼できる可能性が高く、二次情報は解釈・変更が加えられていることを前提に吟味する必要があります。したがって、検討したい情報が二次情報であるときには、必ず一次情報に遡って確認します。しかし、最近は動画や静止画も編集されるので、一次情報だからといってうのみにすることもできません。

次に、メディア表現能力も重要です。例えば事業計画書によって融資を勝ち取りたいなら、金融機関の融資担当者が最も重視する「安全性」「定期的に返済するためのキャッシュフローがしっかり獲得できるか」に焦点を合わせて事業計画を検討・表現する必要があります。

これらを基礎として、本題である事業計画書の各項目の書き方を見ていきましょう。

書くべき項目別の書き方・注意点

誰に伝えるための事業計画書か

事業計画書に決まった書き方はありません。しかし、いきなり白紙に書き始めるのは無理難題です。

例えば、日本政策金融公庫の「創業後目標達成型金利」の利用申請時に書く事業計画書には、以下のようなテンプレートがあります。

事業計画書(創業後目標達成型金利用)

 

【出典】日本政策金融公庫「借入申込書等ダウンロード」

次に、日本政策金融公庫が「創業後目標達成型金利」を行う趣旨は何かを確かめましょう。

創業後目標達成型金利の概要)

 

【出典】日本政策金融公庫「創業後目標達成型金利」

「利益率や雇用に関する一定の目標を達成した場合、ご融資から3年経過後の利率を当初利率から0.2%引下げます!」とあります。そこで、利率引き下げ要件を見てみると、以下2点が要件となっています。

・ご融資から2期目の決算書類に基づいて算出した売上高減価償却前経常利益率が5%超となっていること
・事業計画書作成時点から従業員数が1名以上増加(新たに事業を始める方は従業員を1名以上雇用)していること

まず1つ目の「売上高減価償却前経常利益率」は、返済の原資となる営業キャッシュフローを生み出せているかを表します。実質的な利益を出していて、しっかり返済ができるかどうかを見ているわけです。そのため、売上と経費の計画を現実的なものとして検討・表現することが求められるはずです。といっても、これはすべての事業計画にも必要なことであるともいえるでしょう。

2つ目の「従業員が1名以上増加」からは、雇用増進を趣旨としていることが明らかです。そのため、安定的な利益をもとに「確実に雇用を増やす取り組み」を検討・表現することが求められるでしょう。

ほかにも、公的な融資・支援制度や補助金・助成金を申請するための事業計画書などのテンプレートは、当の公的機関によって用意されていることがあります。例えば「検討したい融資の正式名称 書式 go.jp」で検索すると、必要な書式を見つけることができるかもしれません(go.jpは中央官庁などが用いるドメイン)。

あわせて融資や補助金・助成金の制度の概要を必ずチェックしましょう。趣旨をよく理解して趣旨を現実的に達成することができる事業計画を検討し、趣旨に合った表現を心がけることが必要です。

つまり、誰に向けた事業計画書かを明確にし、読み手に求める行動を得るために、読み手が何を求めているか正確に把握し、求められていることが達成確実となるような適切な検討と表現が必要です。

例えば、投資家に向けて書く事業計画書であれば、投資家が重視する「成長性」を確実に実現できる検討を重ねた上で表現し、投資家に「この事業を応援したい、投資したい」と思わせ、投資してもらうことを目的として作成します。

企業概要、発案者の経歴

ここから、具体的な項目について見ていきましょう。まずは企業概要です。企業概要に書かれることは、主に以下のような内容です。

(1)会社説明
・代表者名
・企業名・屋号
・所在地
・設立年月日
・資本金
・事業内容
(2)発案者・経営者の経歴
(3)起業の動機

事業概要の例

 

【出典】中小機構J-Net21「事業計画書」テンプレート ※以下同様

ここでは「経歴」と「動機」について考えましょう。経歴は、創業する事業内容・新規事業の内容と必ずしも整合する必要はありません。経歴と動機は、事業計画書が読み手の関心に沿うか、新事業に何か役立つのか、発案者や経営者はどれだけ熱意を持ってこの事業を完遂しようとしているのかを見極める最初のステップです。

一見、事業とは関係なさそうでも、事業を遂行するステップのどこかで役に立つかもしれません。それに、自分の能力を整理・棚卸しすることで、新たな発想が生まれるかもしれません。できるだけ自分には何ができるかを、事細かに書き出してみることをおすすめします。また動機として、どれだけ長くアイデアを温め検討してきたか、どれだけ熱い思いを新事業に抱いているか、あるいは社会貢献のために新事業がいかに必要であるかを、他人が読んでも「熱い思い」「遂行への強い意志」「社会への必要性」が分かるよう表現しましょう。

ここから、読み手を納得させ、求めるアクションを引き出すストーリーが始まります。

事業内容

事業内容には主に以下のような内容が書かれます。

(1)ビジョン・目標
(2)事業コンセプト

ビジョン・目標は、分かりやすく具体的に書きましょう。数値で表現できない定性的な表現と、数値で表現できる定量的な表現が考えられます。後者は売上のような数値目標などです。現時点で明らかでなければ、検討を重ね、明らかになってから書くのでもよいかもしれません。特に数値目標は、読み手が納得するかどうかの大きな分岐点となるため、慎重に検討するべきです。

事業コンセプトには、主に以下のような内容が書かれます。

・商品・サービスの内容
・顧客ターゲット
・顧客獲得の方法(商品・サービスの提供方法・仕組みなど)

事業内容の例

   

ここから、前述のリテラシーが求められます。目的は読み手が納得し、求める行動を起こしてくれることですから、読み手の関心に沿い、いかに商品・サービスに差別化が図られていて、競合より優れ、具体的な事業計画を一貫して支えてくれるか表現します。

顧客ターゲットは属性と人数、住んでいる地域を明確にすると、説得力があるでしょう。また後に書くことになる数値計画の基礎ともなります。そのためにリテラシーを駆使し、確実に需要が見込めることを具体的な数値、アンケート、調査、正しく把握された現実に基づいた推論により明らかにし、分かりやすく表現しましょう。

現状分析

さらにリテラシーが求められる項目です。主に以下のような内容が書かれます。

(1) 業界動向
(2) 市場規模
(3) 競合分析
(4) 自社・事業の強み・優位性(ヒト〔経験・技術・専門性〕・モノ・カネ・情報)

現状分析の例

     

メディア受容能力が求められる項目です。業界動向・市場規模や競合分析は、インターネットを用いて各種統計を探す、業界紙を読む、専門家に聞く、調査会社に依頼するといった方法が考えられます。

競合分析や自社・事業の優位性いずれも、独りよがりな主張・主観では信用・納得してもらうことは難しいでしょう。新事業が成功裏に継続できるかどうかを左右する重要な項目でもあるため、さまざまな方面から情報を入手・検討した上、競合の商品・サービスとの差、自社事業の優位点を、それら確実に正確である情報・データとともに、差・優位性に焦点をあてて書いていきましょう。

また、マイナス要素もしっかり検討しましょう。マイナス要素がある場合は、正直に書いた上で、克服する具体的な方法を検討・表現すれば、むしろ納得性が増すかもしれません。

販売・仕入計画

ここまで検討してきたことを数値などに落としていきます。主に以下のような内容が書かれます。

(1)販売計画
(2)販促方法
(3)仕入計画

販売・仕入計画

   

販売計画とは、何円の商品・サービスを一定期間にいくつ売るかの見積りです。販促計画は、商品・サービスをどのようにして広く知ってもらい売るか、仕入計画は、売上を上げるために何を何円でどれだけ仕入れるかの見積りです。

販売計画や販促計画は、ここまでに見てきた事業内容や現状分析から明らかになるものであるとともに、数値に落とし込んで検討していくことで、事業内容や現状分析を見直すきっかけにもなります。多くの場合、双方を調整していく過程で繰り返して見直し、事業の実現見込みを高めていくことで事業計画を練っていくでしょう。

ここで売上について理解しておくべきことを説明します。売上の計算にはいくつかの方法があります。

(1) 売上=平均単価×販売数
(2) 売上=1日当たり客数×客単価×営業日数
(3) 面積あたり売上高×売り場面積
(4) 客単価×席数×回転率×営業日数

これらの計算式を用いて、業界や売り方、地域の事情などのデータと照合しながら、数値の見直しをすることができるかもしれません。販促計画も、これら計算式を当てはめてみて、より売上目標に近づけるように調整できるかもしれません。

また、売上や仕入の入金・支払サイトについても入念にチェックしておきましょう。入金が1カ月遅れたばかりに資金ショート、というようなことが起こっては大変です。

人員計画

人員計画の例

 

経費のなかでも大きな支出となるのが人件費です。人員計画を立てるときは、必要な売上や仕入にかかる業務を洗い出すことが必要です。業務の洗い出しは、慎重を期して行いましょう。洗い出しがずさんであると、人員計画も実施体制ももくろみどおりに行えず、思わぬ人員増が発生し、販売計画もままならない、ということが起こりえます。

業務の洗い出しがしっかりできれば、必要な人員数も正確に割り出せるでしょう。もしも人を雇う必要があるならば、正社員なのか契約社員・アルバイトなのか考えなければなりません。

ただし、1人でも雇用する場合は労働関連法規・社会保険関係法規が適用されるため、最低賃金法の定める最低賃金以上で雇用しなければならず、社会保険料といった一定の福利厚生費などについても加味して人件費を見積もっておく必要があります。また毎月の給与計算などの業務増も考えておきましょう。

創業する場合、まずは少ない人数で始め、事業が軌道に乗ってきた頃合いを見計らって人員増を考える、というのが現実的でしょう。

数値計画

主に以下の内容が書かれます。

(1)投資・調達計画
(2)損益計画

投資・調達計画の例

 

(1)投資・調達計画
必要な資金のうち、設備資金については、業界や商品・サービス、売り方によりさまざまであり、一度設置すると簡単には変更できないため、「まずは販売計画が可能になるような必要最低限」と考えるのがよいのではないでしょうか。一方、じっくりと腰を据えて検討しておきたいのが、運転資金です。

運転資金とは、事業に必要な業務を日々続けるのにかかる費用です。人件費、賃料、仕入費用や材料費、消耗品などが含まれます。人件費、賃料は「固定費」、仕入費用や材料費、消耗品は「変動費」と分けられます。

運転資金は毎月支払が発生するため、見積りが甘いと損益計画が崩れてしまいます。また、融資担当者からすれば、純利益(+減価償却費)から運転資金を減じた額が返済資金の原資となり、重視せざるを得ないということもあります。減価償却費については、次の損益計画で説明します。

売上見込みが立ちにくい初期は、固定費の割合をできるだけ抑えておくほうがよいでしょう。なぜなら固定費の割合が多いと、思ったように売上が確保できなかった月があればそれだけで急激に資金繰りが厳しくなるからです。一方、運転資金に占める変動費の割合が多ければ、売上があまり上がらない場合には経費も減ることになり、固定費が多い場合ほどには苦しくならない可能性が高いといえます。

中小機構J-Netが、必要となる費用をまとめているので、参考にしてください。

必要となる費用の例

人件費 給料・福利厚生費(社会保険料など)・通勤交通費
店舗維持費 家賃・管理費・共益費・水道光熱費・修繕費
看板使用料・駐車場使用料
仕入れ 材料費・外注費
販売関連 販売費・荷造運賃
備品 事務用品・消耗品・修理費
販売促進 広告宣伝費・販売促進費
通信関連 各種リース料・保険料
会議費・接待交際費
借入金返済元金・借入金支払利息

【出典】中小機構J-Net21「運転資金の考え方」

繰り返しますが、売上・仕入計画で見たように、売上代金と仕入代金の入金・支払サイトもしっかり確認しておきましょう。交渉ができる場合は、交渉によって解決を図ることができるかもしれません。

なお民間金融機関の融資担当者が見る運転資金には経常運転資金、増加運転資金、所要運転資金と呼ばれるものがあります。ここでは詳しく説明しませんが、経常運転資金は貸借対照表にある「(売上債権+たな卸資産)―仕入債務」で計算されます。

損益計画の例

 

(2)損益計画

損益計画では、売上高と各種費用を見積もります。これにより、以下の各種利益が計算されます。売上高は、販売計画で見積もったものです。

売上総利益 =売上高―売上原価
営業利益 =売上高―売上原価―販管費
経常利益 =売上高―売上原価―販管費―営業外損益
純利益 =売上高―売上原価―販管費―営業外損益―税
※営業外損益=財務活動・金融活動など、本業外の損益(支払利息など)

販管費とは、販売費および一般管理費の略です。人件費や減価償却費といった物件費が含まれます。なお、販管費比率(販管費÷売上高)の低さは、経営効率の良さを意味することがあり、業種によっても異なりますが、一般に大企業ほど低いことが知られています。つまり、販管費比率の低下は一つの経営指針にもなるということです。

販管費に含まれる減価償却費についても、しっかり見ておきましょう。減価償却費とは、設備・機械・車両などといった時間経過とともに価値が減っていく資産を、購入時に全額必要経費とはせずに、使用可能な期間(法定耐用年数)にわたって分割し必要経費として計上していく科目です。つまり、実際に費用としてお金が出ていくわけではない額です。そのため、例にあるように返済可能額の欄には「税引後利益(純利益)+減価償却費」の額が書かれています。

また、業種により難しいこともあると考えられますが、売上が増えたときに、売上の増加率ほどには販管費が増えないような事業の仕組みをつくることができると、投資家の評価が高いでしょう。なぜなら、売上が増えたときに利益の増え方が大きく、投資家が重視する「成長性」が大きく見込めるからです。

実行スケジュール

最後に、実行スケジュールを検討します。販売・仕入計画で検討した計画や人員計画で洗い出した業務・人員補充の計画を踏まえ、いつまでに、誰が、何をするのかを考えます。3年程度をめどに立案することが多いですが、例のように四半期単位で進捗を見たり、目標年度を決め、それまでの期中にどれだけ進捗したかを見たりすることもできるでしょう。

実行スケジュールの例

 

実施事項は、あまり細かく設定せず、目標とする販売計画を実施するために必要な事項、発案者や経営者がこだわって実現したい項目にとどめておくのがおすすめです。当面は実行スケジュールに沿って、事業を遂行していくため、重要な事項にまずは注力するべきで、同時にやるべきことが多いと負担が大きく感じられる懸念があるからです。

また、進捗をチェックする責任者を決めておくことが望まれます。それぞれ誰が行うのかも、あわせて具体的に考えておきましょう。

これで、事業計画書の検討と表現は完了です。まずは自分で慎重に漏れなく検討することが前提ですが、知人や家族、できれば業界通や起業・事業立ち上げの経験者、専門家に「納得できるか」広く意見を求めましょう。より良い表現や、何か新しいアイデアが生まれるかもしれません。メディアリテラシーを駆使し、正確な事実・データを論拠とし、読み手が納得しやすい、分かりやすい表現にブラッシュアップしていきましょう。

事業計画書は読む人が納得できる事実・論拠の入手と検討・表現が必要

事業計画書とは、遂行者が計画的に業務を進めるための道程表であり、融資や補助金・助成金を獲得したり、投資を募ったり、共に事業を進める仲間と共有するために書くものです。そのため読み手を納得させ、求めるアクションを引き出すことが重要になります。読み手が納得するためには、計画を立てるのに必要な情報を集めるときにデマや誤った情報を排し、正確な事実・データの入手と十分な検討が必要です。これを可能にするのがメディアリテラシー、なかでもメディア受容能力とメディア表現能力です。正確な情報を基に細部までしっかりと検討し、読み手を納得させアクションを引き出す表現をするよう努めましょう。