VUCA(ブーカ)とは?VUCA時代に求められるスキルと、組織づくりのポイント

2021.01.27

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目まぐるしく変転し、複雑で予測困難な時代の特徴をとらえた言葉が「VUCA」です。そんな時代に求められる人材とはどういう人材か、決断力やリーダーシップを身につけるためにはどうすればよいか。VUCA時代を生き残るために企業が取り組むべきことを解説します。

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目次

VUCAとは何か

VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字をとった言葉です。現代は、グローバリゼーションや国家・地域間の経済紛争、新型コロナウイルス感染拡大や政権交代、日々更新されるITやバイオの最新技術といった、さまざまな物事が目まぐるしく変化しています。こうした状況を正確に把握することで、予測しづらい状況のなかでも最適な意思決定を行い、ビジネスを成功に導くために不可欠な考え方として注目を浴びています。

Volatility=変動性

長い伝統と歴史、知の集積を誇るオックスフォード英語辞典(Oxford English Dictionary)によると、Volatilityは以下のように説明されています。

1. (often disapproving) the quality in a person of changing easily from one mood to another
2. The quality in a situation of being likely to change suddenly

  • 【出典】オックスフォード英語辞典
  • 1. 人の気の変わりやすさ(しばしば否定的な意で)
  • 2. 急激に変わりやすい状況

「変動性(Volatility)」は、VUCAでは2つめの意味で使用され、事象の変わりやすさ、しかも急激な変動性を指しています。たとえば、新型コロナの急速な感染拡大や、それによる勤務形態の急激な変化は、変動性という言葉で表される現代の特徴だといえるでしょう。時代の変動性にいち早く気づき、組織変更やテクノロジーの獲得などによって競合よりも早く的確に対応できた企業は、先行優位をもって有利なビジネスができています。

Uncertainty=不確実性

1. [uncountable] the state of being uncertain
2. [countable] something that you cannot be sure about; a situation that causes you to be or feel uncertain

  • 【出典】オックスフォード英語辞典
  • 1. 不確かな状態[不可算名詞]
  • 2. 確信が持てないこと[可算名詞]

「不確実性(Uncertainty)」は、正しい情報の収集と理解をともなわないために、事態が明らかでなく、確信が持てない状態であることを表しています。たとえば新型コロナの正しい科学的見地が、玉石混淆の膨大な情報が溢れるなか、どれが正しい情報なのか選別できないためによくわからない、という状況は不確実性という言葉で表せるでしょう。企業にとっても不確実性はやっかいな問題です。しかし、不確実な状況下でも仮説をもとに商品を提供し、その世評や新たな状況変化に即応して商品を適切に改善してきた企業もまた、収益を伸ばすことができるでしょう。

Complexity=複雑性

1. [uncountable] the state of being formed of many parts; the state of being difficult to understand
2. Complexities [plural] the features of a problem or situation that are difficult to understand

  • 【出典】オックスフォード英語辞典
  • 1. 多くのパーツから成り立っている状態;理解が難しい状態
  • 2. 理解するのが難しい問題や状況[複数形]

物事は、バラバラに運動する部分の数が多ければ多いほど、全体を把握することは困難になります。理解しがたさが構成する要素の多さに由来するとき、その事象の特徴が「複雑性(Complexity)」と呼ばれます。たとえば、東京のJR渋谷駅前交差点を横断する人々の、誰1人とも交差しない直線を見出そうとするのは、集団の動きの複雑性からして困難だといえるでしょう。同じように、市場のニーズの複雑性を巧みに分解して何が希求されているか理解し、人々が心から求める商材を把握し提供できた企業もまた、市場で優位に立つことができるでしょう。

Ambiguity=曖昧性

1. [uncountable] the state of having more than one possible meaning
2. [countable] a word or statement that can be understood in more than one way
3. [uncountable, countable] the state of being difficult to understand or explain because of involving many different aspects

  • 【出典】オックスフォード英語辞典
  • 1. 1つ以上の意味を持っている状態[不可算名詞]
  • 2. 複数の意味に理解される語や文章[可算名詞]
  • 3. さまざまな側面が関与するため、理解や説明が困難である状態[可算名詞・不可算名詞]

VUCAにおける「曖昧性(Ambiguity)」は、元々の英語の意味は日本語と少々ニュアンスが異なり、「複数の意味を持っている状態」のことを指します。これは複雑性とは違い、構成する要素の多さではなく、ある1つのものが持っている解釈の可能性が複数あることに焦点が当てられています。たとえば、何もせずにじっと座っている男性の頬を涙が伝ったとき、この状況はその男性が何かを思い出して悲しいのか、体に痛い部分があるのか、あるいは嬉しいことがあってかみしめているのか、いずれにも解釈が可能です。この状況は「ambiguous」(曖昧だ)といえるでしょう。このように物事の両義性はときに企業を惑わせます。複数の仮面を剥ぎ取り、その裏にある素顔(ニーズ)を読み取った企業もまた、有利にビジネスを進めることができるでしょう。

VUCAが注目されてきた背景

元々VUCAは、刻々と変化する戦況や、複雑化した国際情勢を正しく把握し機先を制するために考案された軍事用語が民生化された言葉です。一方で現代という社会も、予測しがたく変転するうえ、ネットをはじめとするニュースなどの膨大な情報によって、その時々の状況を正確かつ完全に把握することは、極めて困難だといえるでしょう。

換言すれば、状況変化を素早く察知し、組織と行動を状況に合わせて的確に変更できなければ、企業にとっては継続的な収益を上げることすら難しい時代です。つまり、VUCA時代に適応した人材を採用・育成し、組織と行動を柔軟に変えていくことが企業に求められる、ということです。戦場で兵士がその時々の戦況に正しく対応できなければ生き延びることができないように、あらゆる市場・社会を前にした企業や人々もまた、想定外に変わりゆく現状に適切に対処する必要があります。

これが、目まぐるしく変化する現代の特徴をよく表した「VUCA」という言葉が世に広く知られるようになった背景だと考えられます。

そのうえ、充分に不確実で変動的であった世界は、新型コロナウイルス感染拡大によって、さらに見通しが悪くなりました。日々増減する感染者数・死者数、変わってゆく各国首脳の感染対応、各種専門家のさまざまな意見……正確な状況把握と将来の予測はより困難になり、どんなに入念に準備しても想定外のことが起こり、それでも正しく対処しなくてはならない人々や企業がいるからこそ、いまVUCAがさらに注目を浴びているのではないでしょうか。

VUCA時代に求められる人材とは

VUCAである現代は、複雑で理解しがたく、想定外のことが起こるために予測も困難です。そういう状況に正しく適応するために必要なマインドセットやスキルとは、どのようなものなのでしょうか。

必要なマインドセットとスキル

VUCA時代に必要な資質は「決断力」と「リーダーシップ」が、筆頭候補にあげられるでしょう。

なぜなら、決断力を持つ人材は、膨大ではあっても不完全な情報のなかで適切に状況を把握する情報処理能力を持ち、仮説構築によって複数の行動の選択肢を考えて果敢に実践することができるからです。さらに、状況が変化した際、プランBへの変更を即断・実行できるため、変化の時代にも適切な対応ができることでしょう。ここにリーダーシップが加われば、自らだけでなく一定の集団に対して、適切な状況判断から導かれた指針と行動原理を示し、役割を適切に割り振って、個人が行動するよりも大きな効果をもたらす集団行動を導くことができます。これこそが、企業が求めるべき人材像であるはずです。

企業が求めるべき人材像

決断力とリーダーシップを分解すると、情報処理能力、思考力(仮説構築能力)、行動力の3つに分けられます。

・情報処理能力
どのような決断も、正しい状況判断をともなわなければ誤った行動を導きます。したがって、あらゆる決断にとって、膨大な情報から望ましくかつ正しい情報を選別し、正しく状況を把握する情報処理能力が、前提として必要であるといえます。

では、優れた情報処理能力を持った人材とは、どのような人材でしょうか。まず、日頃から多量の情報に接している可能性が高いと考えられます。特に、自らと異なった意見を含めて多様で大量なニュースソースを現に持っている人材は、優れた情報処理能力を持つと考えられるでしょう。ただし、膨大な情報に接していても、デマや正確性の低い情報を正しいと思い込み、そこから確度の高い仮説や指針が得られない場合は、情報の海に溺れているだけともいえます。したがって、膨大な情報から適切な情報を選び出すリテラシーをも兼ね備えた人材が、企業がVUCA時代に求めるべき人材像だといえます。

・論理的思考力(仮説構築能力)
適切な情報処理により得られた現状認識であっても、完全な情報を得ることが難しいVUCA時代には、それが正しいという保証はどこにもないといえます。仮説はそのうえに構築されるものですから、より確度の高い仮説を考え出して望ましい目標に近づくことができる人は、優れた論理的思考力を持っているはずです。

なぜなら優れた仮説であるなら、その前提である現状認識がどのような条件のもとに成立し、ゆえにどのような限界があるかを理解したうえで構築されているはずです。そして、そうした正確かつ緻密な現状把握と仮説構築を可能にする、もっとも有効な武器が論理的思考力であるからです。

さらに、仮説構築能力を持つ人は、不完全な情報をもとに考えられた仮説と現状認識には、それが成立する諸条件があることを理解しています。自らの現状認識と仮説とにある限界を充分に理解しているならば、次善策であるプランBを適切に用意し、現状認識と実際の状況のギャップが大きくなったときには、素早くプランBに切り替えて実践することができるでしょう。

こうした人は、日頃から「考えることが好きだ」と公言していたり、哲学や数学・思考を必要とするゲームなどを好んだりする傾向があるようです。また、継続的かつ主体的に学ぶ姿勢を持っているはずだと考えられます。VUCA時代には知識・技術の陳腐化がより高速に進むのですから、そうした姿勢は合理的です。

・行動力
どれだけ適切に情報処理を行い、より望ましい仮説をつくりだすことができても、失敗を怖れずかつ前例にとらわれずに、まずは現実に適応してみる=実践してみなければ、現状認識と仮説について検証することができません。したがって、最後に必要なのは行動力だといえます。

こうした行動力を持つ人材は、日頃から周囲からもアクティブであると見られていることが多いだろうと考えられます。知的好奇心が旺盛で、何でも自分で経験してみなければ気が済まないといった傾向、常に活力があって周囲を楽しませようとする傾向もしばしば見られます。幹事などのまとめ役を買って出る、独自のセルフマネジメント力がある、ふらっと一人旅に出る、多趣味である、多くの多様な経験を持つなどといった性向は、行動力を判定する一定の指標になることでしょう。

VUCA時代に適応できる人材育成とは

企業にとっては、上にみたような人材を採用・育成するとともに、自ら正しい情報収集につとめて情報の確度をあげ、素早く意思決定し、変化に柔軟に即応できる組織へと改変していくことも喫緊の課題です。自らも変わらなければ、なかなか生き残るのが難しい時代になった、ということでもあります。

まず、今いる人材をVUCA時代に適応させるにはどうすればよいか、また新人を迅速な意思決定が可能な管理者に素早く育成するにはどうすればよいかを見ていきましょう。

迅速な意思決定法OODAループとは

OODA(ウーダ)ループは、常に変化し、想定外のことが起こりうる戦況のなかで、また複雑になりすぎて全体像の理解が難しい状況のなかで、有効に働く迅速な意思決定モデルです。直面する緊急事態に「Observe(観察)、Orient(適応)、Decide(決断)、Act(行動)」という意思決定過程を繰り返すことで善処する、と考えます。

元々は、アメリカの退役空軍大佐で航空戦力の理論家、20世紀後半に長く米国防総省をコンサルティングしていたジョン・ボイド氏が考案したものです。想定外の緊急事態に対して迅速に対応(意思決定)することができるとあって、VUCA時代に習得したい思考法として注目を浴びています。

OODAループとは

OODA loopとは

【出典】U.S. Army War College「JOHN BOYD AND THE “OODA” LOOP (GREAT STRATEGISTS)」

VUCA時代に企業が必要とする人材の資質は(1)情報処理能力、(2)思考力(仮説構築力)、(3)行動力の3つです。一見習得することが難しい資質ばかりでしたが、OODAループの意思決定法を見ると、その資質に含まれた要素が意思決定の各段階に盛り込まれていることがわかります。つまり、時間をかけて3つの資質を習得しなくても、OODAループの意思決定を行うことでVUCA時代に適応した迅速な判断ができます。

想定外のことが起こるであろうことを前もって想定し、不完全な情報からそのときどきに適切な仮説を現実に当てはめ、現状認識・仮説と現実とのあいだのギャップが大きくなってきたら別の選択肢を迅速に採用する。試行錯誤することで、より適切な意思決定をし、現実への対応をしていくために、極めて有効な考え方ではないでしょうか。

管理者を効率よく素早く育成するには

一方、組織として迅速に意思決定し行動に移すことができるようになるには、そうした意思決定を実効的に行動に移す権限をもった管理者を、できるだけ早く効率よく育成することも重要です。

このとき気をつけなければならないのが、育成したい人材が習得している知識や技術を超えた権限委譲をいきなり行っても失敗する、ということです。一般に、企業による権限委譲(エンパワーメント)は、以下の4段階を踏まえて行われると考えられます。

教育の4段階

教育の4段階

これは「部下の成長段階・個別の状況に応じた教育」を行う、ということを意味します。まず、知識・技術がまだまったく身についていない新人へは、手取り足取り「指示」します。この段階では、まだエンパワーメント(権限委譲)はありません。

次に、ある程度の知識や技術が身についてきたら、ある程度の権限委譲を行い、一定の範囲で裁量をもって業務にあたってもらうようにします。このとき、一定の目標・手法の「合意」をもってエンパワーメントを行う、ということになります。

さらに部下が育ち、かなりの業務知識や技量をそなえてきたなら、上司はさらに大きな権限を渡し、「援助」するのみといった役割に徹します。この段階までくれば、部下はかなりの裁量をもち、それほど上司の手をかけることなく仕事ができるようになっていることでしょう。

最後が「委任」です。自らもつ権限をすべて委譲し、同じ職務につくだけの知識と技量を部下がもつことができたということです。これにより一定の教育は完遂された、と考えることができます。

部下の成長度合い・状況に応じた教育が必要となるため、外資などでは上司と部下が到達するべき目的・手法などの情報共有を個別にすりあわせる、1on1(ワンオンワン)と呼ばれるミーティングを繰り返して行っています。こうした教育の際には、部下にスモール・サクセスを積み重ねさせる、ということも配慮されているようです。

フラットで風通しの良い組織づくり

OODAループはアメリカ軍が採用する意思決定手法でしたが、そのアメリカ軍はいま、組織をネットワーク型から意思決定型に変えようとしているといわれます。なぜなら、現代戦では人工衛星といった情報伝達の要が危機にさらされて指揮命令系統が一部破損した場合であっても、個々の集団が適切に統率され行動できなければならないという必要がでてきたからです。

このように個人や小集団に意思決定の権限を与えて組織改編し、経営実績を出してきたという日本企業も増えています。複雑で混沌とし、予測しがたいVUCAの時代。迅速な意思決定と行動のために、適切な管理者の意思決定と管理者教育などを通し、危機を乗り越えてビジネス上の成功を勝ち取りたいものです。

混沌とし予測しがたいVUCAの時代、企業は迅速な意思決定と適切な教育を

VUCAとは変化し(Volatility)不確実で(Uncertain)複雑(Complexity)、さらに曖昧=両義性がある(Ambiguity)現代の特徴を言い表す言葉です。そのような時代において、企業には迅速な意思決定と組織的行動、社員個々の能力の発揮と自律的な行動、迅速な管理者教育が求められます。不完全な情報をもって刻々と変化する状況にあわせ対応を変える意思決定法であるOODAループ、部下の成長段階に合わせたエンパワーメント(権限委譲)を行う4段階教育、迅速な行動を可能にするフラットな組織改編により、VUCAで困難な時代を乗り越えていきましょう。