【紫原明子×前田有紀×秋元陽子】女性の可能性を広げる「多様な選択肢」と「幸せなはたらき方」とは

パーソルグループは、はたらき方やはたらく価値観が多様化するいま、あらゆるはたらく個人がより幸せに生き、自分らしくはたらくための一歩を踏み出すきっかけづくりを目的として、どなたでも気軽に参加できるオンラインセミナー「今、ニッポンのはたらくを考える会議」を今年の7月より開催しています。

11月23日、勤労感謝の日には、特別版として「今、ニッポンのはたらくを考える大会議 ~勤労感謝の日に、これからのはたらくを考える~」を開催しました。
本記事では、5つのKeynoteとSessionのうち、Session1「女性の可能性を広げる『多様な選択肢』と『幸せなはたらき方』とは」について、一部を抜粋してご紹介します。

登壇者紹介

<モデレーター>
紫原 明子/エッセイスト

1982年、福岡県生まれ。男女2人の子を持つシングルマザー。クロワッサンonline、AM、東洋経済オンライン、BLOGOS等、連載、寄稿多数。「ウーマンエキサイト」にて「WEラブ赤ちゃん」プロジェクトを発案。オフラインサロン『もぐら会』主宰。著書に『家族無計画』(朝日出版社)、『りこんのこども』(マガジンハウス)。

 

 


<登壇者>
前田 有紀/フラワーアーティスト、株式会社スードリー 代表取締役

10年間テレビ局に勤務した後、2013年イギリスに留学。コッツウォルズ・グロセスター州の古城で見習いガーデナーとして働いた後、都内のフラワーショップで3年の修業を積む。「人の暮らしの中で、花と緑をもっと身近にしたい」という思いからイベントやウェディングの装花や作品制作など、さまざまな空間での花のあり方を提案する。2018年秋に自身のフラワーブランドguiを立ち上げる。

 

 

秋元 陽子/株式会社パーソル総合研究所 シンクタンク本部 部長

大手精密機器メーカーの法人営業を経て、設立間もないマネジメント教育会社に参画。出産、育児と両立しながら、日本初のオンライン経営大学院の立ち上げと事業拡大に貢献し、大学事務局長、執行役員等を歴任。パーソル総合研究所に転じ、人事プロフェッショナル育成事業開発等を担当しながら、パラレルワークでウィメンズキャリアメンター、エグゼクティブ・コーチとしても活動中。

 

 


データから浮き彫りになった、
はたらく女性の仕事への向き合い方


女性がいきいきとはたらける社会を実現するには、まだいくつかのハードルを超えなければならないと指摘する紫原氏。そこでカギを握るのが、はたらく人々の成長意欲のあり方です。

紫原氏:まず見ていただきたいのが、小学生のなりたい職業ランキング、1970年版と2019年版の比較です。こうして見ると、時間の経過とともに憧れの職業もずいぶん様変わりしましたね。

前田氏:1970年の女子の1位はスチュワーデス(客室乗務員)。これは当時の女性にとって花形の職業ですから、順当といえば順当ですよね。それが2019年には看護師という、どちらかというと華やかさよりも堅実な職種が1位になっているのは、女性が選択できる仕事の幅が広がってきたことの表れのような気がします。



紫原氏:そうですね。一方の男子は、2019年の1位はサッカー選手、2位が野球選手と続きます。

秋元:女の子のほうが現実味のある仕事観を持つ傾向にありそうですね。一方で、大人になるとどうかというと、パーソル総合研究所でまとめた調査結果を見ると、成長意欲においても20代~60代のすべての年代で男性より女性のほうが高いことが明らかになっているんです。ここでいう成長意欲とはつまり、職場で自分を高めることを重要だと感じているのです。



前田氏:男女ともに40代になると成長意欲が低下しているのが気になりますね。これはなぜですか?

秋元:これは「キャリア・プラトー」とよばれる、キャリアの谷のようなもので、職場では責任が次第に増すタイミングでいろいろと悩み、家庭では子どもの成長についてまたいろいろと悩むなど人生の中でも悩んだり考えたりする時期に差し掛かっていることも影響していると考えられます。

紫原氏:なるほど。仕事でもプライベートでも、そこから先の人生について思い悩む時期なのでしょうね。


はたらく幸福度が高いのはフリーランスや自営業


幸福度が高いのは会社員よりも自由業、自営業。両方の立場を経験した前田氏は、独立後は常に「やり甲斐が苦労を上回っている」と語ります。

紫原氏:さらに見ていただきたいのが次のデータです。雇用形態別に比較した、はたらく人の幸せ・不幸せの実態調査(出典:パーソル総合研究所)なのですが、フリーランス(自由業)や自営業の幸せ実感が高く、正社員は低い傾向が顕著です。



秋元:つまり、自分の裁量で選択できる立場の人ほど、はたらくうえでの幸福度が高いようですね。

紫原氏:その点、前田さんはテレビ局の正社員から独立した立場ですが、このデータをご覧になってどう感じますか?

前田氏:私はテレビ朝日で10年間、アナウンサーをやっていましたが、次第に「転職して違う世界を見てみたい」という意欲が高まってくるのを感じ、独立して会社を起こす決意をしました。たしかにこのデータのように幸福度が大きく増したのは事実で、それは「花」という大好きなものを仕事にしているからだと思います。

もちろん、仕事ですから大変なこともたくさんあります。それでも常にやりがいや喜びのほうが、その苦労を少しずつ上回っている印象ですね。その反面、独立してから気付く会社員の良さというのも多く、自分がいかに会社に守られていたのかと、いまになって実感させられているのもまた事実です。



紫原氏:前田さんはアナウンサーを辞めたあと、しっかり修行を積まれているんですよね。

前田氏:はい、テレビ局を辞めたあと、「花」の勉強をしにイギリスに留学し、帰国後は3年ほど都内の生花店ではたらきました。

紫原氏:そうした下地づくりもされたうえで、いまのほうが幸福度で勝っているというのは、素晴らしいことですよね。


なぜ女性は男性よりも「はたらく幸せ実感」が高いのか?


男性よりも女性のほうが、はたらく幸せを実感している事実がデータから明らかに。幸せ実感には「選択肢」も関係している……?

紫原氏:秋元さんは対照的に、会社員としてこれまでのキャリアを送ってこられました。

秋元:そうですね、基本的にはずっと会社員の立場です。しかし、転職や副業などを経験させてもらっているおかげか、幸いにしていまのところ仕事に対して不幸せを感じたことはありません(笑)。



秋元:これには興味深いデータもあって、正規雇用の男女の「はたらく幸せ実感」を年代別に比べると、総じて女性のほうが幸せ実感が高く、不幸せ実感が低い傾向があるんです。また、職場の男女比による比較を見ても、女性は女性の多い職場のほうが幸せを感じることが明らかになっています。

紫原氏:面白い比較ですね。これはなぜなのでしょう。

秋元:一つには女性はその空間を快適に、はたらきやすく保つ気遣いができるためではないかとも思います。実際、私自身も前田さんのように独立して活躍されている方に憧れはありつつも、会社員として快適にはたらけている現状に、大きな満足感を持っています。

紫原氏:つまりどちらの立場も選択肢の一つに過ぎないんですよね。独立して自分の力を試すことのやりがい、会社員として周囲と助け合いながら仕事をこなす喜び、いずれを選ぶのかはあくまで個人の自由なわけです。

前田氏:私は会社を辞めるか悩んでいたとき、社内のいろいろな部署の仕事を改めて見直してみたことがありました。もしかすると、退職しなくても自分がやりたい仕事が社内で見つけられるのではないか、と。結果的にはこうして独立の道を選びましたが、実際にいろんな発見がありましたし、閉塞感に苦しめられているときほど、身近なところを見直してみるのは大切なことだと感じました。


会社員と自営業。それぞれ「はたらく」に感じる喜びはどこに?


会社員にも自営業にも、それぞれのやりがいと不安があります。紫原氏はエッセイストとしてキャリアをスタートする際、不安や悩みに苛まれながらも「最終的には周囲の人々が自分の役割を見つけてくれた」と振り返ります。

紫原氏:ところで、お二人ははたらくことの喜びや幸せを、どのようなところに感じていらっしゃいますか?

前田氏:私の場合、前職はカメラの前で話す仕事でしたが、なかなかカメラの向こうに大勢の人がいる実感が得られずにいました。それがいまの仕事では、自分で仕入れて束ねたブーケを直接お客さまに手渡しする際、すごく幸せそうな笑顔を見せてくれることがあるんです。こうした温度が伝わる距離でお仕事させてもらえることに、大きなやりがいを感じています。これはもう、一生モノの仕事だと確信しています。



秋元:私は組織の皆と一緒に一つのものをつくり上げていく過程や、さらにその結果お客さまに貢献できることに喜びを感じています。仕事を進めるうえではさまざまな困難がつきものですが、それを周囲と相談しながら乗り越えた瞬間というのは、すごく楽しいですね。

紫原氏:前田さんは会社を辞めることに不安を感じることはなかったですか?福利厚生などいろいろなものを手放すことになると思うのですが……。

前田氏:それはやはりありました。当時は大学時代の友人たちの中にも、新卒で入った職場を辞めた人はまだ皆無でしたし、「私だけ人生のレールからはずれてしまって大丈夫かな?」とすごく悩みました。それに、アナウンサーを辞めて花屋になるというのも、まったく前例がなかったですからね。

それでもこうして独立に至ったのは、好きな花をテーマに仕事をしている自分の将来像に好奇心を駆り立てられ、たまらなくワクワクしたからです。不安よりも新しい世界を見たい気持ちのほうが上回ったんです。

紫原氏:収入面など、不安の種を挙げていけばキリがないと思いますが、それを払拭する強いモチベーションがあったわけですね。

前田氏:私はアナウンサー5年目あたりから、この仕事を続けていくべきかどうか悩みはじめたので、決断するまでに5年かかったともいえますけどね(笑)。でもその5年は、社内の仕事を見直したり、できるだけいろいろな世界を覗いてみたり、自分の「好き」を探すためにできるかぎりのことをやりました。そのうえで「花」という選択肢に確信を持つことができたんです。

秋元:客観的に自分を見直す機会を持つことは、キャリアを育むうえでも大切なことですよね。

紫原氏:私は19歳で出産したため、30歳で離婚するまで、はたらいたことがなかったんです。学歴もキャリアもなく、それでも子どもたちを養うためにどうすればいいのかと、途方に暮れました。そこで前田さんのようにいろいろな場に行って、多くの人にお会いするうちに、いまの役割を見つけてもらった経緯があります。

はたらき方の可能性を広げる方法は人それぞれだと思いますが、積極的に外へ出て選択肢を広く持つことは、幸せなはたらき方を見つけるひとつのヒントになりそうですね。



三者三様の立場から紐解いていく、「幸せなはたらき方」。セッションのすべてをご覧になりたい方は、以下から視聴してください。

このページをシェアする