【前編】勤労が義務化された日本で、もっと幸せに「はたらいて生きる」には

パーソルグループは、あらゆるはたらく個人がより幸せに生き、自分らしくはたらくための一歩を踏み出すきっかけづくりを目的として、どなたでも気軽に参加できるオンラインセミナー「今、ニッポンのはたらくを考える会議」を今年の7月より開催しています。今回は、特別編として開催したセッションを前編、後編の2回に分けてお届けします。(制作:NewsPicks Brand Design)


コロナ禍で価値観が大きく変化するなか、私たちは「はたらく」をどのように捉え、行動すべきか。

「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに掲げるパーソルグループはオンラインカンファレンス「今、ニッポンのはたらくを考える大会議」を11月23日、勤労感謝の日に開催。あらゆる角度から議論を展開した。
本記事では、2つのKeynote Sessionをレポート。転換期にある現代において、自分らしくはたらく未来につながるヒントをお届けする。




幸せが長続きする報酬は「金銭」ではない?


石川 今日は勤労感謝の日。日本は、「勤労」が憲法で義務化されている珍しい国です。昨今ではコロナ禍の影響もあり、仕事や生活の価値観はますます変化しています。
昨今の「はたらく」をめぐる価値観の変化のなかには、報酬に対する価値観の変化もあります。楽天大学の仲山達也学長は、働き方には「加(+)・減(−)・乗(×)・除(÷)」という4つのステージがあると提唱しています。



最初の「加(+)」は、できることを増やすステージで、仕事の報酬は「仕事」。次の「減(-)」は自分の強みに集中するステージで、仕事の報酬は「強み」。
さらに次の「乗(×)」は磨いた強みに別の強みを掛け合わせるステージで、仕事の報酬は「仲間」になり、最後の「除(÷)」は効率的に複数の仕事ができるようになるステージで、仕事の報酬は「自由」になります。
報酬というと「金銭」をイメージしがちですが、すべてのステージで「金銭」が入っていませんね。



前野 「お金・地位・物」の報酬による幸せは長続きしません。「やりがい」や「つながり」のほうが長期的な幸せにつながります。
だから、人生をかけてやりたいことと仕事がつながっていたら、その仕事そのものが生きがいになりますし、自分の仕事が役に立っていると思えることが報酬になる。
人間本来の「はたらく」とは、お金を稼ぐためではなくて、仲間がいてやりがいがあり、“みんなで生きている”と感じることだと思います。最近はそういった考え方に戻っているように思います。



石川 幸せが長続きしない報酬があるのですね。

前野 課長に昇進したことを1年間ずっと喜ぶ人は、なかなかいないですよね(笑)。「地位材」というのですが、他人と比較できるものを手にしても幸せは長続きしません。
もちろん、足りない状態から足りる状態になるのは大事ですが、一定以上の収入を得られるようになると、お金が幸せに寄与しなくなる。それよりも、心と体が社会とつながっている状態が続くと幸せは長続きします。

石川 酒向さんは社長として報酬を設計する立場にいますが、報酬は何だと思いますか?

酒向 生活の安心と安全を守るのを前提とした上で、仕事の報酬は、未来に対する責任を果たしている実感を得ることだと思っています。
これ以上環境が悪くなると生きていけないし、経済格差が広がると生きられなくなる人が増えてしまう。格差が広がっていくなかで「自分だけひとり勝ち」はできない、と思っています。
山積している社会課題を切り崩して、少しでも社会を良くして次の世代に渡すことが、いちばんの報酬ですね。



前野 僕らが若い頃は高度成長期だったから、かっこよくて速い車が欲しかった。でも親子ほど離れている酒向さんの世代は、環境を配慮した車を選ぶのが当たり前になっていますよね。
人類のため、地球のためにと考える利他的な人が増えたのは、昔よりも職業を自由に選択できるようになり、多様な生き方ができる時代になった証拠だと思います。

石川 たしかに昔は、頑張って勉強して、いい学校に入学していい会社に入社すれば、いい人生が待っているといわれていました。いわゆる「報酬のレール」が敷かれていた。
いつかは夢のマイホームといった幻想があったけれど(笑)、まさにそうした「地位材」を得ても幸せは長続きしないから、報酬に金銭が入っていないのですね。




ライフとワークの境界が融合


石川 「はたらく」の価値観の変化として、コロナ禍では「時間」と「場所」の使い方が大きく変化したと思います。

前野 オンラインとオフラインのハイブリッドで自由に働けるようになりましたよね。これはコロナ以前からできたはずの働き方ですが、日本は新しいことをしたくても制度が邪魔して、なかなか進みませんでした。
それが一気にリモートワークが浸透したことで、満員電車の苦しみから解放された人は増えたはず。ただ、時間と場所をうまく使える企業と使えない企業は二極化し、格差も生まれています。
僕自身は、今まで新幹線や飛行機で移動していた時間がなくなり、家族との時間が増えました。
みんなが在宅になったから、一緒に食事ができるし家事も以前より行える。オンラインミーティングを近所の公園ですることもあり、現代人が忘れかけていた豊かさを得られています。

前野氏は香川からオンラインで登壇。

酒向 株式会社GoodMorningでは、今まで渋谷のオフィスに通える人を限定で採用していましたが、フルリモートになったので自由に採用ができるようになったのは大きな変化です。実際、今年の夏に新しくチームに入ってくれたメンバーにはリアルで会ったことがありません。
個人的な変化として、コロナ禍は価値観の変動に振り回されました(笑)。
今まで家は寝るだけの“巣”と位置付けていましたが、リモートワークになってからは、冷蔵庫を買って料理を作るようになり、銭湯通いから自宅のお風呂に入るようになりました。すると、必然的に仕事の時間を減らさないといけなくなったんですね。
今までは仕事で成果を出すことが自分にとっての幸せだったのが、家での生活も大事なことに加わって、価値観の判断軸が増えたんです。

前野 価値観の判断でいうと、現代人はライフとワークは区切るものだという価値観を持ってますが、原始人は教育も仕事も家事も、みんなで同時にやっていたんですよね。
今こそ、そのような本来人間がやっていた「価値観の調和」や「同時解決力」が求められているのではないでしょうか。


受動的で“やらされ感”のある人の幸福度は低い


石川 これからの「はたらく」に対して、提言をお願いします。

酒向 自分なりに楽しく働いて生きようと思っても、例えば制度やルールなど、足かせになっているものもありますよね。自分の力だけではどうにもならない場合、国のルールを変える必要もあると思います。



だから、私個人が自分の働き方や幸福を追求していくためにできることは、政治に関わっていくこと。自分が暮らしている国や市町村のルール、政治は、自分の生活や「はたらく」に密接に関わっていると考えています。

前野 格差の問題を含めて、今の日本では制度疲労が起きています。明治維新から第2次世界大戦までは77年、第2次世界大戦から77年後が2022年。制度疲労をクリアするタイミングが来ているのだと思います。だから、政治も大企業も教育も官僚も、変えていくことが急務ですね。
また、ウェルビーイングの研究では、自己決定する人の幸福度は高く、受動的で“やらされ感”のある人の幸福度は低いことがわかっています。
政治が動かないからと諦めるのではなく、小さくてもいいから自分の意思決定で行動を起こせば、世の中はポジティブに変わっていくはず。人生は一度きり、誰もが幸せに生きて働いて、幸せに一生を終えられるようになるといいですね。


幸せなはたらき方とは?それぞれの価値観に迫ったセッション。そのすべてをご覧になりたい方は、以下からご視聴ください。

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