いまこそ「雑談」を!10年ものリモートワークを経験した社長が語る、チーム活性化の秘訣

昨今の社会情勢に伴い、いま、世の中の「はたらく」が急速に変化しています。特集「はたらく見聞録」では、この時代を前向きに自分らしくはたらくためのヒントや、それを支える活動について連載でご紹介していきます。

初回のテーマは、「雑談」。リモートワークや、ほかのチームメンバーと時間をずらすシフト勤務への移行を通じて、「上司や同僚と顔を合わせたり、雑談する機会が減った」という方も多いのではないでしょうか。PERSOL Global Workforceの代表取締役社長を務める多田 盛弘は、以前10年以上もの間リモートワークを経験。雑談が減ることで、チームメンバーのある意識の変化を感じてきました。そんな多田の経験や、現在、同社で工夫している雑談のコツについて聞きました。

 

多田 盛弘(PERSOL Global Workforce株式会社 代表取締役社長)
コンサルティング会社にて、30カ国以上で産業開発・人材育成・保健医療・教育など多様な分野での国際援助に関わる。2018年以降は外務省のODAに関する有識者懇談会の委員や、経済産業省における日本企業の新興国市場開拓、農林水産省の地方創生事業などを務め、2019年4月にパーソルホールディングスに入社、10月より現職。



※本取材は、新型コロナウイルス感染拡大防止のためオンラインで実施しています(記事内画像は画面キャプチャを使用)。


社長自ら「もっと雑談」


―早速ですが、業務管理ツール「Teams」の、多田さんのチームチャネルを覗かせていただきました。お仕事の連絡で溢れているかと思いきや、ワンちゃんの様子を投稿されていますね。可愛い…。


「トコちゃん」は、多田の愛犬のお名前


多田:
可愛いでしょう(笑)。昨年の12月から、業務連絡板や「雑談」チャネルに加えて、「もっと雑談」という名前のチャネルをつくっています。この投稿は「もっと雑談」チャネル内での投稿ですね。

―「もっと雑談」…?

多田:最初は「雑談」だけでした。でも、私自身が、このチャネルにビジネスに寄った投稿をしてしまいまして。たとえば、仕事関連の参考記事の共有などですね。それを見たメンバーから「もっとくだけた話ができる場をつくろうよ…」という意見が挙がったのを機に、仕事にまったく関係ない雑談を気兼ねなく行えるチャネルとして「もっと雑談」を作成しました。

チームチャネルの例。本当に「もっと雑談」という名前で運用されている


―4月にPERSOL Global Workforceでの勤務がリモートワークに切り替わってからはメンバーの投稿が増えていますが、最初のころは、多田さんからの投稿が多かったとか。

多田:仕事に関係ない投稿って、最初はメンバーからすると少し躊躇するじゃないですか。だから、私や管理職の人間が率先して投稿して、気兼ねなく雑談できる雰囲気をつくるようにしています。でも、「一日何件投稿する」というようなルールは一切敷いていません。それをやると、雑談のはずなのに仕事っぽい空気が出てしまいますから。

メンバーからも、ご飯やお子さんに関する発信など、自由な投稿が増えてきた


10年ものリモートワークの経験を経て気づいた
「雑談の消失」によって失われること


―なぜ、そこまで雑談を重要視されているのですか?

多田:雑談がなくなると、チームや組織への関心が薄くなったり、新しいことにチャレンジする活力が弱くなる考えているからです。私が以前務めていた会社では、海外への出張が多かったという事情もありますが、社員の6割以上がリモートワークをしていました。私もその一人で、10年以上そのような状態が続いていました。業務が効率的になるなどいろいろと良い面もあったものの、「自分一人だけの仕事」や「最低限の会議だけ運用する」という状況が続くことで、雑談がしにくくなりました。それによって、先述のような悪影響が出てくるのを、じわじわと感じるようになったんです。

―具体的には?

多田:たとえば、自分へのメリットが短期的に薄いような会議には関心がなくなって、そのうち参加しなくなるメンバーが増えたり…。ほかにも、アイデア出しの会議で意見が出てこなくなったり、会社の行事にも人が集まりにくくなったりということがありました。
もちろんそれ自体を否定するつもりは一切ないのですが、メンバーの大多数がチームへの関心をなくすと、組織で仕事をする意味って何なんだろうと。組織でやるなら、チームのビジョンを共有したり、自分の考えや近況を共有して一緒に取り組んだ方が楽しいし、そこから新たなアイデアが浮かんできたりするじゃないですか。そうしたものが、本当に少しずつ、時間をかけて失われていく感覚がありました。



―確かに「リモートワークになってから、無駄話をしなくなった」という声はSNS上でも多く聞かれます。

多田:仕事上の「もっとこうした方がいいよね」という何気ない会話や、ランチでするようなくだけた話をするために、わざわざオンライン会議を設定したりしないですよね。でも、私たちはくだらない会話から相手に興味や安心感をもったりします。人と人との関係性って、そういう小さな積み重ねで成り立っていると思うんです。


コミュニケーション上の不都合は、本当にオンラインのせい?
課題の本質を見極める


―雑談できる会議も開催されていると聞きましたが。

多田:それ専用の会議ではなく、定例の会議の時間の中で、雑談もしているという感じです。雑談って難しくて、「無駄な話もOK」と許された場での会話ならしやすいのですが、「今回は雑談だけの会議だ」としてしまうと、急にやりにくくなる。なので、雑談の時間を無理につくるのでなく、「普段の会議でくだらない話ができる」ようにしています。

―オンラインだからこそ、コミュニケーションの重要性も高まっていますよね。

多田:いえ、本質的には、オンラインかどうかは関係ないと思っています。

―えっ?



多田:会社で顔を合わせても、挨拶以外は何も話をしない…というような組織であれば、「オンラインだから雑談しよう」と急にいわれたって、それは難しいと思うんです。私はオンライン上の雑談は大事だと思いますが、その考えのもとには「普段から雑談が許容されている組織風土」だという前提があります。

―オンラインどうこうよりも、そのような組織風土が大事だと。

多田:はい。リモートワークやシフト制勤務になってからコミュニケーションを見直す方も多いと思うのですが、オンラインによる影響そのものというよりは、これを機に顕在化した風土の課題とか、新たに気付いた組織の活性化されていない部分とか、そういう所まで深掘って考えるのが大事だと思います。すべてオンラインのせいにすると、本質的な組織課題が見えなくなってしまいます。

―もともとコミュニケーションできる風土がある場合には、上司がその機会をつくってあげられると良いですね。

多田:そうですね。コミュニケーションがオンラインによってうまくいかなくなった場合のアドバイスとしては、まずは、会議の時間をつくるよりも、先ほど紹介した「もっと雑談」チャネルのように、仕事とかけ離れた話が許される場をつくってみると良いと思いますよ。業務関係のスレッドしかなかったら、無駄なことなんてなかなか書き込めません。合理性を追うのは大事ですが、そうじゃないところにも、普段は気付けないコミュニケーションの「効用」があるのだと思います。

(以上)


Information
多田が代表取締役社長を務めるPERSOL Global Workforce株式会社では、フィリピン人現地日本語トレーニングセンター「PERSOL Language institute」で、オンラインにて授業を実施し、学習フォローを行っています。
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